インタビュー
科学への関心は父からの影響
「新しいアイデアや経験に、子どものような好奇心を持ち続ける大切さを父に教えてもらいました。数学や科学に興味を持つようになったのも父のおかげです」。科学の本を買ってもらったり、顕微鏡や化学の実験セットを買ってもらったり、博物館に連れて行ってもらったりしたことを覚えているそうだ。10歳の頃にはパソコンも買ってもらい、12歳ごろからはテキストのRPGなどゲームのプログラミングも始めた。
父からこうも言われた。「何か新しいものを見つけ、面白いと思ったら、傍観するのではなく、それを知ろうとすること。知りたいと思ったときに、自分の方法を見つけること」。
高校生の時、コンピューターサイエンス担当の教員に、校内のエキシビジョンやサンプルプログラムを任されたことが、この分野に進むきっかけになった。
人工知能で人々の暮らしをより良くしたい
大学ではコンピューターサイエンスを専攻。卒業後は4年間、大学の講師としてコンピューター言語などを教えていた。「単に知識として知っているというだけでは、人に十分教えることはできない。自分の弱いところを鍛える、とても良い機会になりました」。
現在、大学院では人工知能の研究をしている。心拍、皮膚の伝導度などのデータをウェアラブルセンサーで集め、深層学習を用いてメンタルストレスを測定することを研究している。深層学習を使うと、これまでの方法に比較して、とてもフレキシブルなモデルを作ることができる。
AIを用いれば、個人のニーズに応じて最適化したり、調整したり、様々な分野で、いろいろな進歩が可能だと考えている。
次の世代にも機会を提供したい
HWIPの融合研究で、異分野の学生と一緒にチームで研究に取り組んだことがとても楽しかったという。それまで知らなかった分野の知恵を得ることができ、関心も広がった。「融合研究で、バクテリアの行動からアルゴリズムを作ったこともあります。自然はいろいろな面白い機構を持っています。何億年もかけて築かれて、効率的な機構になっている。そのことに関心を持ちました」。
将来は、人工知能分野の研究者として、日本で仕事を見つけたいという。また、母国の若い研究者やイノベーターの卵を支援する奨学金を創設したいという夢も描く。フィリピンでは大学を出ると就職してしまう人が多く、研究を続けるチャンスが少ない。「自分が経験させてもらえた、大学院で研究を続けられるような機会を提供したいと考えています」。
2016年12月インタビュー
(実際のインタビューは英語混じりの日本語)
プログラムの内外ですばらしいカリキュラムが用意されている。
Q プログラムに応募した動機は?
以前、感情コンピューティングの分野で学際的な研究に従事している方々に接することがあり、以来、創意にあふれた解決策を見つける最も優れた手段は、異なった視点から物事を見るようにすることだと思っていました。だからこそ、いろいろな技術を組み合わせてさらなる進歩が可能となるように、多種多様な研究分野の最先端のトレンドを突き進むように心がけています。それは、私自身にとって、さまざまな科学分野を享受するうえで非常に役立っています。このプログラムは、エンジニアリング・バイオサイエンス分野でのイノベーションに携われ、新しい視点からの洞察力を高めることができる非常によい機会であると考え、応募しました。同級生とともに、新しい研究課題を見つけ革新的な解決策を開発したいです。
Q 将来の夢・目標は?
社会に貢献できる、特に医療分野で役に立つシステム開発に結びつく研究をしたいです。将来、フィリピンに戻っても自身の研究を続け、祖国のテクノロジーの発展に寄与したいと思っています。そして、同じような目的をもつ意欲的な若い研究者を支援したいと考えています。
Q プログラムの魅力は?
このプログラムには、社会的意義のある研究課題を見つけその解決策を考え出せる非常にクリエイティブな若い学生と連携できる機会があります。また、経済面でのサポートがあるので、奨学金を探したり、アルバイトをしたりせずに、研究に集中できます。さらに、研究セミナーや研修など、プログラムの内外で同世代の学生と学べるすばらしいカリキュラムが用意されていることも大きな魅力です。