コーディネーターより

「情報」「生命」「認知・脳」の融合を鍵にイノベーションを創起するリーダー人材を育成

プログラムコーディネーター 清水 浩

Coordinator_Shimizu「ヒューマンウェアイノベーション博士課程プログラム(HWIP)」は、「博士課程教育リーディングプログラム」の一翼をになうものです。本プログラムでは、博士人材の育成を徹底的に追求しています。複雑に入り組んだ社会において表れる一つの分野の研究を深めるだけでは解決できないようなさまざまな課題をリーダーとして解決する力を身に付けます。

 

 

なぜ「情報」「生命」「認知・脳」の融合なのか

HWIPを構想するに当たり、私たちはまず「情報」と「生命」との融合をめざしました。生命機能の柔軟性をとり入れた情報システムや、生物の省エネルギー特性に学ぶ持続可能なエネルギーシステムなどを探求していける可能性があるからです。

しかし、このような科学と技術のみのアプローチだけではイノベーションは起こせません。ユーザーが製作されたモノに満足し、構築された情報環境を快適に感じてこそ、社会的に大きなインパクトが与えられるからです。ユーザーがどのように感じているのかをインタビューやアンケートで調査するだけでなく、より客観的に測るアプローチとして、近年、脳の研究や認知科学がクローズアップされています。そこで、「情報」と「生命」に、さらに「認知・脳」を加えた3領域を融合することの重要性を考えました。

HWIPでは、これら三つの領域に関する知見を備え、相互にフィードバックすることによってイノベーションを起こすことのできる「ネットワーキング型」の博士人材を育成することを目的としています。ネットワーキング型博士人材とは、自らの専門性を深めつつ、ほかの領域の専門知識を獲得して自身の領域にフィードバックする双方向性を備えた人材をいいます。

HWIPは履修生に何を提供できるか

HWIPの履修生が国際社会において思う存分実力を発揮するために、HWIPはどのようなサポートができるのか。それは、HWIPの教育課程を通じて、世界を相手にイノベーションを創起し、リーダーシップを発揮していくことができるような真のエリート博士人材として履修生を育成することです。

本プログラムの3つの目玉

1)徹底した熟議「斉同熟議」の実践

本プログラムでは、自らの専門分野のみならず、他の研究分野の研究者や学生と双方向に議論する力を身に付けることを目標しています。自分の足場(専門性)を高めながら、他の分野の研究者と双方向に議論する熟議を重視します。「斉同」とは、自他を区別しない境地に立つ、を意味します。本プログラムでは合宿、融合研究など様々な場面を通して斉同熟議を深めていきます。

2)産学連携ネットワークの重要性

大学での研究がどのような社会的価値を持つのか、社会から要請される研究や研究者の力量は何か。履修生が企業や学外の研究機関の現場の体験を通じて、実社会の厳しさ、コミュニケーションの重要性を実感すると同時に、高度な研究能力に加えて、実社会の現場に触れて持ち帰った「手応え」を感じてくれることに期待します。
社会の色々な場面で組織をぐいぐい引っ張るイノベーションリーダーに育てあげること。それがHWIPの目標であり、それに携わる私たちの念願であります。

3)履修生の自主性を尊重

本プログラムでは履修生の自主的な活動を大いにバックアップします。学外の講師を招いて講演会を開いたり、自らの活動を学外でアウトリーチするなど、さまざまな自主活動を積極的に支援します。プロジェクトの立案、運営、報告までを履修生自らが主体的に行うことによるデザイン力、マネジメント力、コミュニケーション力、の向上を願っています。