第三期生

孫 雨庭ソン ウテイ

基礎工学研究科 システム創成専攻

山東大学

インタビュー

生命の進化の未来

一番得意だったのは生物だという。自然がどうしてこのような形になったのか、勉強すればするほど分かってくるのが楽しかった。初期の生命からだんだんと人間に近づく進化の過程に興味があったそうだ。「人間の代わりに、人間が作った人工知能が生き残る。そんな進化の未来も考えています」。

中国・山東大学進学時は、コンピューターサイエンスを選んだ。『ONE PIECE』(尾田栄一郎)『NARUTO−ナルト−』(岸本斉史)など日本のアニメに興味があり、日本語学校にも通っていたそうだ。

石黒教授のアンドロイドに衝撃を受けた

大阪大学大学院基礎工学研究科の石黒浩教授が、TEDでアンドロイドについて語るのを見て、日本に行こうと決めたという。「映画以外で、本当に人間そっくりなロボットを作っているというのは衝撃的でした。それらと共存する未来が来るのではないかと思い、自分も研究したいと思いました」。

現在は石黒研究室で、想像力を使ったコミュニケーションの研究をしている。AIの音声認識や自然言語の処理能力は、まだ十分な実用レベルには達していない。しかし人間の想像力をうまく使えば、自然言語に頼り切らなくても何らかのメッセージを伝え合うことができるかもしれない。「意味があいまいで、聞き手の想像に任せるニュートラルな言葉を使うことで、何となくいい気分になって親密な関係性を築くことを目指しています」。

「曖昧さやいい加減さが無いところが良さそう」という理由で、大学進学時はコンピューターサイエンスを選んだというが、今は認知科学や社会心理学など、複雑で曖昧な人間を対象にした研究にも取り組む。「人工知能を勉強する前に、人について勉強しなければならないとことが日本に来てわかりました」と笑う。

「強いAI」を作りたい

「一人の研究では視野が限られてしまう。細胞を研究している人たちの視点から、人工知能がどうするべきか、分かることもある」。HWIPの良い点は、異分野の研究者や学生といつも交流できることだという。「他分野を知ろうとするとき、論文だけから得られる視点はそんなに深くない。論文になる以前の段階のことは学ぶことができないから。一緒に研究することで、どうやって研究が成り立っていくのかノウハウが学べます」。

将来は、アカデミア、産業界を問わず、AIの分野で研究を続けたいと思っている。「知能があるように見えるものではなく、本当の知能をのせたロボットを作りたい」。何か特定の課題などを処理するだけの人工知能「弱いAI」に対して、真の知能を持ちうる人工知能を「強いAI」と呼ぶ。「ロボットが本当の知能を持つということは、ロボット自身が、自分がロボットであるということを認識することだと思います」。知能とは何か、自分とは何かといった、哲学的な問いにまで関心は広がる。

2016年12月インタビュー

アクティブに思考する、インタラクティブに動く人になりたい

Q プログラムに応募した動機およびプログラムの魅力は?

生命、情報、認知の組み合わせからどのようなイノベーションが生まれるかを楽しみながら他分野の人たちと融合研究ができるのがこのプログラムの魅力だと思います。

Q 自身の専門または得意分野は何で、プログラムでそれをどのように発展したい?

私は学部で情報、具体的にはコンピュータサイエンスの専門でしたが、現在ではコミュニケーションロボットの研究をしています。このプログラムを通して、自分の研究を進めながら、生命科学などの他分野の考え方やテクニックを身につけ、幅広い視野の持つのが目標です。

Q 将来の夢・目標は?

一人前の研究者になり、今までない新しい分野や知識を作りたいと思います。

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