インタビュー
戦略を立ててルートを読む
細かい模型を作るなど、手先を動かすことは子どもの頃から好きだったそうだ。小学校高学年の時に、自由研究でラジオを作ったことを覚えている。最初に音が出た時の嬉しさ、楽しさはとても印象に残っている。
モノづくりへの興味から、高等専門学校へ。部活ではクライミングに取り組んだ。今も時々、六甲山系の岩場を登る。手がかりつかんで登っていくだけだが、うまく考えないと手詰まりになる、戦略が大事なスポーツだ。頭、体、技術がそれぞれ同じぐらい必要とされる。登る前に下で「どう登るか」を考える時間も楽しい。なるべく体力を使わずに済むうまいルートを読まなければならない。「プログラムを組み始める前に、どうするかなって考えている時間と、似ているかもしれないです」。
手ごたえを得た国際学会での経験
現在は、IoTデバイスと、これとつながる側のサーバーやクラウドなどを結ぶネットワークの制御を研究している。

研究室のあるサイバーメディアセンターにて
現状の制御手法の延長では、今後膨大になるデバイスが制御しきれず破綻したり、セキュリティーの問題が生じたりするおそれがある。そのネットワークのセキュリティ部分を中心に、研究を行っている。
最近、研究で「良い経験になった」と感じたのが、2016年夏の国際学会での論文発表。ポスター掲示に口頭で10分の発表。ポスターの準備、発表シナリオ、当日の英語での質疑応答。聞き取れないし、しゃべれない。しかし発表の終了後にも「ここはどうなっているんだ」と聞きに来る人もいて、直接議論を交わせたことで、研究への手ごたえを感じることができたという。
学んだ知識から、さらに一歩進める技術
HWIPでは、1年時のカリキュラム「イノベーション入門」で企業インタビューに行った。学生たちでアポイントメントを取り、話を聞いたのは、元エンジニアで、今も大きなプロジェクトのリーダーを務める人物。「できる人は、野心的で情熱を持っている」。そのことを肌で感じ、刺激を受けた。
将来は、高専の教員を進路の一つに考えている。出身である高専の先生たちに世話になった思いがあるのと、人に教えるのが好きなので、自分が学んできた様々な事を、次世代に伝えられる仕事もよいのではないかと思っているそうだ。「研究では、学んだ知識+αで、自分のアイデアを出していくことが求められる。自分も苦しんだ時期があり、今も日々模索しているけれど、多少は、自分なりの考え方や取り組み方を見つけられたかなと思う」。単に知識を伝えるだけではなく、学んだ知識を応用してさらに一歩進める技術を伝えられたら、と考えている。
2016年12月インタビュー

修士論文発表会での発表
自由な雰囲気の中で、新鮮な体験ができる。
Q プログラムに応募した動機は?
きっかけは、指導教員の先生から本プログラムを勧めていただいたことでした。自分の専攻と異なる分野の人々との交流という、ほかでは得られない経験を積むことができること、また教育・研究面だけでなく、経済面の支援を受けられることが応募を決定する動機となりました。
Q 将来の夢・目標は?
ただデジタルデータをやり取りするためだけのネットワークでなく、人間にとってより身近な、現実世界と相互に作用しあうようなネットワークシステムを開発し、社会に貢献したいと思っています。
Q プログラムの魅力は?
自由な雰囲気の中で、新鮮な体験ができる点です。多様な人々との交流であったり、他分野についての学習であったり、このプログラムでしかできない経験ができることに大きな魅力を感じています。