高橋 慧智

第二期生

高橋 慧智

情報科学研究科 マルチメディア工学専攻

インタビュー

「自分で生み出せる世界」の魅力

中学1年生の頃、長い間使われないままになっていた父のポケコンを見つけた。「何かこれ、とんでもなく面白いぞ」。マニュアルを自力で読み解き、BASICのプログラミングに熱中したそうだ。「PRINT ”HELLO, WORLD”」とプログラムを打ち込み、実行すると「HELLO, WORLD」と表示される。それだけで嬉しくて、夢中になった。

小学生の時の夢は、自然科学の研究者になることだったという。しかしポケコンからパソコンへと、プログラミングの熱中度が増すうちに、興味は工学に移った。自然の仕組みを解き明かす「科学」へのあこがれの一方で、新しい仕組みを自分で一から組み上げる「工学」の面白さに惹かれた。「自分でシステムや世界を生み出せるのが、面白いと思います」。

強みは、アイデアを素早く形にする力

大学は大阪大学工学部の電子情報工学科へ。1年生の時に、工学部が主催する「学生チャレンジプロジェクト」に応募し、採択された。学生が立てたプランに大学側が資金提供などのサポートをしてくれる制度だ。睡眠中の心拍数などをセンサで検知し、睡眠サイクルをはじきだして、それと連動する目覚まし時計を作った。装置やソフトウェアは、すべて自分たちで手作りしたそうだ。

大学1年から、アルバイトでのプログラミングも経験した。「趣味のプログラミングでは、自分が作りたいものを、作りたいように作る感じだった。でも業務で書くプログラムは、ユーザビリティを意識したり、ソースコードを他の人が読めるように配慮したりする必要がある」。アルバイトでのプログラミングの経験が、新たな気づきにつながり、技術力のブレークスルーにもつながったという。「プログラミング力は筋肉みたいなもので、毎日毎日、書き続けないとどんどん下がっていく」。プログラミングは「趣味で、仕事で、研究で、遊び」という。

プログラマーとしての自身のタイプは、「ものづくり系」だととらえている。強みは、「アイデアをすぐ形にできること」。素早く形にし、動くものにして世の中に出せる力は、自身の武器だと考えている。

人類の全意識をコンピューターに載せたい

研究室のあるサイバーメディアセンターにて

今の研究テーマは、スーパーコンピューター。何万台というコンピューターをうまく結びつけて通信させ、効率よくプログラムを実行させようとしている。

抱いている野望は、「人類の意識を、全部コンピューターにアップロードすること」。コンピューターの中に脳のシミュレーションを作り出すことができれば、人間の意識をコンピューターの中に作り出すこともできるのではないか。そうすれば、例えば自分と同じ思考をする分身を100人分スパコンの中に作って、一人ではできないことを100人の自分にやってもらうようなことができるかもしれない。「何らかの形で、自分の意識を連続性のある形でコンピューターの中に再現できたら」、そんな夢を描く。この野望のためにも計算機のパワーは不可欠で、「社会的にも野望的にも、計算機の力を上げる今の研究は、やりがいがあると感じています」。

HWIPの異分野の履修生の研究にも、関心を持つ。特に、脳を研究している同期の話はとても興味深いという。HWIPで異分野の研究の進め方と接する中で、道具としての情報技術をもっと上手く使えば、より効率的にできることもたくさんあると感じた。

「コンピューターはあくまでも道具」。道具は、役に立つことで価値が発揮される。自分の作ったプログラムが、現実の世界で活用される中で、少しずつ成長し、磨かれていくことが面白いという。そんな「誰かの役に立つもの」を、これからも自分の手で作り出していきたい。

2016年12月インタビュー


  • 高性能計算に関する国際会議・展示会SC16でのポスター発表
  • 高性能計算に関する国際会議・展示会SC15の展示ブースにて
  • 情報科学研究科での研究発表