第一期生

THAMMASAN, NATTAPONGタンマサン, ナッタポン

情報科学研究科 情報数理学専攻

チュラロンコン大学コンピュータ工学科出身

インタビュー

画面の中に、ドラえもんのような存在を作りたい

[:ja]

野口英世に刺激を受けた

中学校2年生くらいに読んだ、細菌学者・野口英世の伝記漫画『Dr.NOGUCHI』(むつ利之、全17巻)に強い印象を受け、研究者になろうと決めたという。野口の我慢強さ、不自由な左手のハンディキャップをものともせず、世界を変えるような研究成果を出したいという強い気持ちを持ち続けた人物像に興味を惹かれた。「自分の国だけではなく世界的に活躍したいという志に共感しました」。

子どもの頃は宇宙に関心があったそうだ。自身が中学生の時、国際天文学オリンピックにタイからも参加ができるようになった。このオリンピックに国の代表として参加するため、中学2年から高校1年まで、何度も試験に挑戦した。残念ながら代表枠2人の次点だったが、サイエンスに打ち込むことがとても楽しかったという。

人工知能から脳研究へ、関心が広がる

大学ではコンピューターサイエンスを学んだ。そこで人工知能から脳に関心が広がったという。

大学院での研究では、脳波を測定し、そこから感情を予測できるようなモデルを、機械学習の仕組みで構築している。たとえば被験者に音楽を聞いてもらい、その時の感情を伝えてもらって、機械学習でモデルを作る。伝えてもらわなくても、脳波から感情を予測できるようにすることを目指し、改善を重ねている。

研究を進める上で、異分野との融合を目指すHWIPの環境が役立っているという。「研究成果を発表するときに、情報科学だけでなく、脳についても、脳情報通信融合研究センター(CiNet)や大学院医学系研究科の脳研究の専門家からフィードバックをもらうことができました」。

HWIPのインターンでは、脳波の信号を処理するカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究室に行く予定だ。「AIは自分の研究室でも勉強できますが、脳そのものを勉強する機会は貴重です」。

世界に貢献できるAIアプリケーションをつくりたい

将来は、大学の研究機関などアカデミックな領域で研究を続けたい。「世界に貢献できるAIのアプリケーション、特に体のコントロールがうまくできない人や、ハンディキャップのある人に役立つものをつくりたい」。

文化や考え方、ワークスタイルなどが異なるヨーロッパに行くことにも関心があるそうだ。ヨーロッパにはEUがあるが、東南アジアにはEUのような共同の形はなく、研究コミュニティという点でも、東南アジアの中での共同研究はそれほど多くない。EUのようなモデルが、東南アジアでも進められたら、と思っている。

最終的にはタイに戻って、様々な国の良い面を母国で応用できたらと考えている。

2016年12月インタビュー

脳科学をコンピュータの開発に生かしたい。

Q プログラムに応募した動機は?

私は学習機能の高いコンピュータの開発をめざしています。生命機能、なかでも脳科学の研究から学ぶことは多いと思っており、プログラムの内容に興味をもったので応募しました。

Q 将来の夢・目標は?

プログラム終了後は、故国タイで研究を進めたいと考えています。目標は、国を変えるような意義ある研究をすることです。

Q プログラムの魅力は?

先生が親切なこと。おもしろいイベントも多そうで、期待しています。いろいろな分野の人と友人になりました。彼らとのディスカッションは楽しいです。また、プログラムには日本語のライティング力、インタビュー力を高める講義もあってうれしいです。

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