第三期生

島谷 二郎しまや じろう

基礎工学研究科 システム創成専攻

大阪大学理学部出身

インタビュー

人を喜ばせることが好き

小学生の頃から演劇に関心があったという。もともと、人を喜ばせることが好き。中学3年の学園祭、創作劇で演じた役が、大きな笑いを取ったことで、すっかりはまったそうだ。

演劇は大学4年まで続けた。派手な照明、音響を用いてアクションやアドベンチャーものをかっこよく演じる「エンタメ」系の出し物が多かったという。「音楽に強い人、演技できる人、脚本を書ける人、いろんなことができる人たちが集まって一つのものをゼロからつくる。観客と場を共有して、反応を生で感じられる。そこが魅力です」。

福沢諭吉の言葉「人生は芝居のごとし」が好きだ。「人生は芝居のようなものだからあれこれ考えすぎず、目の前のことに全力で打ち込みなさい」と解釈している。萎縮しそうな時、この言葉を思い出す。研究発表の前に気後れしたら「天才科学者の演技をするんだ」と思うとうまくいくそうだ。

一方、小さい頃から理科も好き。「小学校6年生の頃、相対性理論の入門書を読んで、宇宙には果てがあるかとか、僕らは135億年前の光を見ているとか、そういう話が面白いなあと思いました」。

基礎物理から、人と接するフィールド研究へ

大学の学部は物理学科で原子核の磁気能率を測定する基礎研究をしていたが、大学院からコミュニケーションロボットの研究に転じた。物理の計算も好きだったが、「もう少し人と関わることをやりたい」と思ったからだった。

現在の研究は、自閉症スペクトラム障害の人たちのコミュニケーション支援。

研究室にて。

この障害を持つ人たちは、人間を相手にするより、ロボット相手の方がコミュニケーションを取りやすい場合があることが知られている。

人より表情や動きが限定されているかららしい。そこで、ロボットとコミュニケーションの練習を積んで、それをステップに最終的に人とうまく関われるように支援することを目指している。

演劇の経験が、コミュニケーションロボットの研究に役立つこともあるという。「コミュニケーションロボットに自然な動きや反応を実装する際、こう言われたらこう返すのが自然だ、みたいな感覚は、演劇で培われた感性が活きているかなと思います」。

教育に役立つ研究成果を生み出したい

HWIPの活動にとどまらず、学内の他のリーディング大学院の学生と一緒に、研究会 の企画に携わっている。学内の各リーディングプログラムを履修する学生に講演を依頼して、研究内容を異分野や一般の人にも分かるように話してもらうという企画だ。「文理の壁を越えた分野横断をしたいというモチベーションと、高校生にも研究生活がどんなものか知ってもらいたいという思いで企画しました」。今年の4月に第2回目を開催した際には、約100校の高校に自分たちで案内を郵送し電話をかけた。当日は、学内外から約100人の人が来てくれたそうだ。

「人を喜ばせるのが好きで、中でも、後輩や自分より若い世代を喜ばせたいという思いが強い」という。将来は、教育の質を高めるITデバイスを開発するのが目標。例えば、学習の効果を高めるコミュニケーションロボットや、業務が多く余裕がない学校現場を補助するITデバイスなどだ。「人間の先生にしかできないこと以外を機械でサポートして、教育の現場に余裕をつくり、子どもたちが大人の愛情を感じながらのびのび育つ環境づくりに貢献したい」と話す。

2017年6月インタビュー

研究者、工学者という立場から、教育に役立つ何かを生み出すことが私の目標です。

Q プログラムに応募した動機は?

カリキュラム(とくに自分で考えていろいろやれるところ)が楽しそうだったので。あとは魅力的な同世代の研究者に多く出会えることを期待して、応募しました。実際に、ヒューマンウェア生として過ごしてみて、これは間違いではなかったと実感しています。

Q プログラムの魅力は?

専門が異なる人々と毎週のように気軽に議論できる環境は、融合型のリーディングプログラムの利点の一つです。とくにヒューマンウェアは各々の分野が近すぎず、しかし関連しあっている部分も多いので、お互いに有益な議論となることが多いです。

Q 将来の夢・目標は?

教えることがもともと好きなのもあり、何か「教育を変える(役立つ)研究」をしたいと考えています。教育(あるいは指導)は日常生活のいたるところで頻繁に行われる行為であり、特に幼少期の家庭教育、学校教育はその後の人格形成に大きな影響を与えます。また、少子高齢社会の日本においては、子ども一人ひとりに質の高い教育を提供することが大切となります。研究者、工学者という立場から、教育に役立つ何かを生み出すことが私の目標です。

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