第二期生

森田 啓介もりた けいすけ

情報科学研究科 バイオ情報工学専攻

大阪大学工学部出身

インタビュー

微生物の代謝をデザインし、環境負荷を軽減したモノづくりを目指す

モノづくりには、子どもの頃から関心があったそうだ。大学進学時には建築にも心惹かれていたが、バイオ技術の可能性に惹かれ最終的に選んだのは、微生物研究を手がける応用生物分野だった。進路を決めたきっかけの一つは、漫画『もやしもん』(石川雅之、全13巻)だったそうだ。微生物を肉眼で見ることができる能力を持つ農大生の主人公が活躍するストーリーだ。

自身は、現在は酵母を研究対象としている。酵母を物質生産の工場にして、化成品の原料やバイオ燃料を作らせようというねらいだ。

酵母に遺伝子を組み込み、酵母から生成される物質を分析機器にかける。酵母が、本来なら作らない物質を作ってくれるかどうか。次の日、結果を見ては「あっ」と喜んだりする日もあれば、「あーあ」と落ち込みつつも何がいけなかったのかを考えて次のアプローチを模索する、そんな繰り返しの日々だという。

研究の大きな目標は、微生物を使って、石油の代わりに再生可能な資源を原料にして、工業製品の原料になるような化学物質やバイオ燃料を作り出すこと。複雑な化合物も、環境負荷を減らして少ないエネルギーで作り出せるようになれば、環境問題の処方箋として役立つと考えている。

ビオラで支えたオーケストラ

中学校から弦楽器を続けており、大学のオーケストラではビオラを担当した。バイオリンとチェロの間の中低音を担当する楽器だ。オーケストラの中では目立たない存在だが、音の幅を広げるには不可欠で、縁の下の力持ち的なポジションである。そして、その位置が性にあっているという。「サンドイッチでいえば、ピクルスみたいなものかもしれません」。

100人以上のオーケストラでステージマネジャーも務め、会場との交渉、舞台の設営、入退場の段取りなど裏方を仕切った。

先頭に立って周囲を率いていくようなリーダーだけでなく、周囲の意見を聞き、間を取り持つようなリーダーも必要だと考えている。

次世代のサポートにも関心

将来は、研究を具体的な製品につなげられる、企業への就職に関心がある。「微生物の研究を続けられるなら、医薬品など、なかなか自然界から入手できないようなものを微生物に作らせることができたら」。子どもから「お父さん、何やっているの」と聞かれた時に、「こういうのを作っているんだよ」と答えられるような仕事も面白いかなと思っている。

自己分析では「わりとシャイな性格」。HWIPのおかげで、異分野の学生や企業の人と交流し、「すごく刺激になっているし、見識を広げることができた」と言う。そんな風に、これまで周囲の人たちに支えてもらった経験から、逆に将来、自分がサポートする立場もいいかなと思い始めているそうだ。

2016年12月インタビュー


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【研究概要】


自分にとって未知の分野にふれてみたい!

Q プログラムに応募した動機は?

自分の研究分野と異なる人々や研究のことが知りたくて本プログラムに参加しました。専攻の研究科に属しているだけでは、知識も人間関係もどうしても狭い範囲で留まってしまいます。さまざまなバックグラウンドを持つ人々と交流して友人関係を広げるとともに、自分にとって未知の分野に少しでも触れてみたい、というのが一番の動機です。

Q 将来の夢・目標は?

微生物を用いた有用物質の生産を行う研究を通じて、社会に貢献していきたいです。そのために、生物の細胞内で起きている現象を解析し、微生物がもつ可能性を探っていきたいと考えています。

Q プログラムの魅力は?

一番の魅力は自分と分野を異にする履修生と気軽に交流できることです。また、プログラムの活動は任意参加のものが多いので、プログラムに積極的に参加することも、自分の研究に集中することもできます。個人にこのようなかなりの自由度が与えられ、必要に応じて参加できることも本プログラムの大きな魅力です。

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