第三期生

水山 遼みずやま りょう

生命機能研究科 生命機能専攻

大阪大学理学部出身 <特別選抜:大阪大学生命機能研究科より>

インタビュー

考えるのが好きな人

「考えるのが好きな人」。高校生の頃から、友人にそんな風に言われていたそうだ。親からも、小さい頃から、ミニカーで遊んでいる時どうやって車輪が動いているのかなど、いろいろいじって観察していた、と言われる。「仕組みを探るのが好きだったようです」。

哲学や社会学の本もたくさん読んだそうだ。他の人と考えが衝突した時、「なぜ自分はこう考えるのか、なぜ相手はこう考えたのか、どっちが正しいのか、と考えて、じゃあ正しいって何をもって決まるんだろって思ったんです」。哲学に興味を惹かれたのは、そこからかもしれないという。

様々なことを、とことん、何でだろうと考えた。なかなか「まあええやん」で納得できない。「自分が、何でこういうことを考えたのか、何でこういう気持ちになるのか、みたいなことを、よく考えていました」。自分はどうも他人とは考え方が違うようだと気づき、そこから脳や心の働きに関心を持った。

脳と心を探りたい

研究室にて

脳や心をもっと知りたい。自然科学的なアプローチで「仕組み」を知りたいと、大学の学部は大阪大学の理学部を選んだ。教養課程で今の指導教官の講義を聞いて、その脳研究のアプローチに惹かれ、大学院ではこの研究室を選んだ。

今は、脳が状態によって、情報処理の仕方をどのように変えているのか探っている。脳は、普段はあまりエネルギーを使わず、穏やかに情報処理している。危険が迫ったり、スポーツで得点が取れそうな緊迫した場面であったりすると、脳はエネルギーを投入して頑張って情報処理する。このモードの転換は、脳の中にあるノルアドレナリンが制御しているが、それが「見る」機能をどう変えているか研究している。

苦労している人たちの生活を楽にする技術を生み出したい

文学の古典もたくさん読んできた。文学を通して、作品に描かれた時代ごとの人々の苦しみや、その背景にある社会の仕組みにも目を向けるようになった。「昔は、純粋に科学を突き詰めて、真理を明らかにしたい、と思っていたんですけど、文学を通して社会に関心を持つようになって、社会を変えたり、人の生活を変えたりするのに、自分の研究成果を活かせると嬉しいと思うようになりました」。

例えば、脳の機能を真似て人工知能を高性能化することができれば、人々の時間を奪っている労働をもっと自動化し、生活にゆとりをもたらすことができるのではないか。そんな風に、神経科学の研究を産業につなげる思考を持つことができたのは、HWIPで情報科学研究科や基礎工学研究科の人たちと一緒に考える機会を得たおかげだという。現在は、融合研究で、脳を模した情報処理システムの研究を計画中だ。

将来は、産業界で、研究を通して人の生活を変えたいと考えている。

2016年12月インタビュー

没頭すべき問題を明らかにして、それを解決する一人になりたい。

Q プログラムに応募した動機は?

神経科学と情報科学や工学による学際的な研究に興味があった為です。実際に融合研究を行う過程で、異分野の知見や産学連携の視点を学ぶことが学生のうちから出来るというのもとても魅力的でした。

Q プログラムの魅力は?

とにかく得られる機会が多く、そしてその活用が学生の裁量にかなり任されていることだと思います。しかし放任というわけではなく、学生のやりたいことにとことんつきあって頂ける先生方の支援がとても有難いです。そう言った環境は、学生が各々の問題意識をより明瞭に、鮮鋭にする上で大きくプラスになっていると思います。

Q 将来の夢・目標は?

これまで三度の革命はいずれも社会や人間のあり方を激変させ、そして現在も随所でイノベーションの必要性が謳われています。“イノベーション”と呼ばれれば何であれ肯定されるとは思わないですが、一人一人が自分の視点から問題を明らかにして、その解決に取り組むことは大切だと思います。私自身もまた、自分が没頭すべき問題を明らかにして、それを解決する一人になりたいです。

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