第二期生

平岡 陽花ひらおか はるか

生命機能研究科 生命機能専攻

大阪大学理学部出身

インタビュー

細胞の写真の美しさと研究者の誇らしげな表情が、サイエンスの世界に惹かれたきっかけ

子どもの頃から「よく道端にしゃがみこんで変なものを見ていた」と言われていたそうだ。ふらー、ぼやーっあちこちを見渡していることが多く「今、何かあったな」とピンと来ると、即座に立ち止まったり、戻ったりして観察していたそうだ。小学生のころはハリー・ポッターに夢中になった世代。家の中では、図鑑や小説など分厚い本に熱中していた。

自宅近くに情報通信研究機構の研究施設があり、小中学生の頃から、毎年のように一般公開に行っていたそうだ。そこで、細胞の中の細かい器官を、3色ほどのカラーで染め分けた蛍光顕微鏡写真を見た。写真の美しさだけでなく、撮影した研究者が「すごくきれいに撮れた」「この写真からこんなことがわかるんだ」と誇らしげに説明してくれた、その表情を鮮明に覚えているという。「私もこんなふうに自分の成果を誇れる仕事がしたい」、そんな気持ちが芽生えたそうだ。

高校生とのサイエンスを通じた交流で、多くのことを学ぶ

大学は大阪大学の理学部生物科学科に進み、高校生に大学での研究に触れてもらう高大連携活動に携わった。年に4、5回、近隣の高校生を大学に招いて、遺伝子組み換え実験やタンパク質の活性測定などを体験してもらう。答えは提示せず、討論しながら高校生たちが自分なりの答えを見つけ出すまで導く過程を手伝う。高校生たちの考え方を想像してコミュニケーションする技術が磨かれた。「まずは不思議に思ってほしい。それから、答えを調べる前に、荒唐無稽でもいいから自分で仮説を立てて考えてみてほしい」。

意外な問いにうまく答えられない時、自分の力不足に気づき、生物への理解もさらに深まったという。「こっちが気づかされることもたくさんあります。向こうの方がなんか純粋なんです。こちらの思いもよらないところに引っかかったりして」。

3年生の時には、連携活動のメインチューターも務めた。「チームで仕事をする時の業務の割り振りや、全体を把握することの重要性を知りました」。

やっぱり基礎研究が好き

大学院から海外に行くことも視野に入れ、1年生の時に1か月、3年生の時にも1週間ほど大阪大学北米センター(サンフランシスコ)の紹介で現地の研究室を訪ね、感触を探った。学位は日本で取った方が良いとの助言もあり、最終的には生命機能研究科に進み、融合研究ができるHWIPに参加した。

「生物研究を深めるには、他の分野の知見が不可欠と感じていた。工学や情報などの分野と融合して生物の謎を解き明かすというHWIPの理念に心ひかれたのかな、と思います」。

今は、細胞性粘菌を研究している。この粘菌は、お腹がすくとわーっと一か所に集まって多細胞体という遠くまで動ける形態になって生き延びようとする。どうやって集合するのか、そのメカニズムを探っている。自分の仮説にもとづいて実験を進め「予想通りでも、意外な結果だったとしても、何か新しいことがわかった瞬間が一番楽しい」という。「やっぱり基礎研究が好き」。

将来は研究者志望。生命を理解する基礎研究を続けたいと考えている。

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細胞性粘菌の生活環
飢餓によって単細胞から多細胞へ移行する

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細胞性粘菌の集合体 (平岡撮影)
透過光で撮影

2016年12月インタビュー

幅広い知識と応用力を身につけ、とことん研究を楽しみたい!

Q プログラムに応募した動機は?

分野を越えた融合的な研究をめざすという理念に心惹かれたからです。これから生物学をやっていくうえで、他分野の知識と技術は絶対に必要になってくると常々うかがっていました。プログラムを通して自分の基盤を広げると同時に、他の分野の発展にも貢献できればと思います。

Q 将来の夢・目標は?

研究者をめざしています。幅広い知識と、それらを結び付ける応用力を身に着けて、とことん研究を楽しみたいと思います。おもしろい結果をスルーせずに、「何かおかしい!」「これはすごい!」と気づけるようになりたいです。

Q プログラムの魅力は?

さまざまな分野の専門家が身近にいることです。独学よりも、詳しい人に聞いた方がより明確で詳細に理解できます。本プログラムでは、それがいつでもできる環境にあるのです。参加が強制されるイベントはほとんどなく、時間の使い方を自分で選べるのもいいところだと思います。

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