ヒューマンウェア価値創造実践

目的と概要

事業化を通した新しい価値創造の能力獲得を目的として、ビジネスプランモデルの作成から事業化までの活動を実際に行うことで、自身のアイデアを社会にて具現化できるようになる。

※本科目は以下のような背景から2018年度から開設されたものです。HWでは、学生を「ある具体的な一つの型にはめる」ような教育ではなく、各学生がそれぞれの個性をもって「それぞれの方向に成長していく」ような教育を意識しています。すなわち、色んな人材が育ってくれれば良いということです。これまで既に、実際に様々なタイプの優秀な学生が成長して社会に出ており、高い評価を得ています。様々なタイプがいることは、人的ネットワークから学ぶ枠組みであるHWにとって非常に重要なことです。例えば、ひとりでもType Aがいると、周囲がAのことに自然と抵抗なく受け入れることができ、学びやすいからです。しかし、様々なタイプがいるなかでも、これまでに起業した学生は一人もいませんでした。その理由は、そのMotivationを持つ学生が一人もいなかったからではなく、専門研究に加え、融合研究やインターンシップ必修など、しなければいけない要求が多すぎたことが示唆されました。そこで、「10~100人に1人ぐらいはいても良いのでは?」、「別ではあるがインターンと方向性の似たことを習熟できるのでは?」という話になり、インターンシップと選択必修にして、事業化に関する活動を単位として認める科目を作ることになりました。なお、この科目名は学生の議論の中で決められたものです。また学振研究員の問題もありましたが、HWと学振および阪大の研究推進本部との連携により、解決策も出されました。これはある種の学生にとってチャンスだと思います。起業すると様々なことが見えてきます。またひとたび就業すると、軽く起業してみることは難しくなります。HW立ち上げ時の反省、学生のアイデア、産学官の協力、これらの上に生まれた科目ですので、フィットする学生は是非、この機会を活かしてくださいませ。

学習目標

・実践を通して以下のようなことができる資質を身に付ける。
・自身がもつ能力と社会をつなぐことができる。
・自身の強い価値観に基づいて自身を活発に突き動かすことができる。
・難しい問題に勇気をもって正対することができる。
・強い忍耐力をもって種々の予測不能な困難を乗り越えることができる。
・常識にとらわれずに現在に存在しない未来ビジョンを描くことができる。
・ビジョンの中において自身の役割に焦点をあてることができる。
・様々な知識とアイデアを組み合わせてビジネスプランを作成することができる。
・プランの妥当性を評価し社会への影響を想像することができる。
・目的を具現化するためにモノやコトをデザインすることができる。
・限られたお金を回して経営することができる。
・限られた時間を有効に使い運営することができる。

認定する活動について

活動は以下のようなもの(ABCのいずれか)であること

A. 自身の起業による就業活動
B. 国などが企画する事業化に関連するプロジェクトでの活動
C. その他、プログラムが認める事業化やお金の流れに関連する新しい価値創造の活動

活動内容は以下ABをすべて満たすこと

A. 活動期間が3ヶ月以上
B. 証拠が残る活動があること(例えば以下。事情により満たせない場合は担当教員に相談すること)

・確定申告の必要がある収支など、経営や就業活動の証拠がある起業(起業するだけでは認めない)
・大阪大学(Innovators’ Clubなど)が関連するVCや投資家などへのプレゼンの機会への出場などを伴う
起業準備
・プロジェクトの委託組織などへの報告がある活動
・その他、活動内容の報告義務を伴うもの
・学生がグループで起業し、公式な証拠がない立場の学生については下部参照

実施要項

以下の活動をもって単位認定する。
1.計画書の提出(様式自由、できるだけ他で必要になる書類に。要相談)
2.活動の実施と定期的な活動の報告(同上。要相談)
3.報告書の提出(同上。要相談。報告会での発表もありえる。自己評価書も添付→フォーム
→提出先は担当教員(2024年度担当 若宮 wakamiya@ist.osaka-u.ac.jp

※基本的にケース依存であるため、提出書類などは柔軟に対応する。
※できる限り無駄のないよう、進めているProjectの枠があればそれを流用などする
→例)未踏であれば、その申請書、報告書などを提出する、など。
※特に何も枠が無い場合は、まずは草案から提出し、必要な情報を満たすよう指導を受ける
※報告会の日程は個別に相談。
※報告書などは履修生内で可能な限り共有する。共有できない場合は申告すること。

過去の報告書(参考)

以下、いずれもファイルのパスは   【 HW11ne 】
・2019年度履修、島谷二郎、クラウドファンディング、報告書リンク
・2019年度履修、小澤誠、三田さんの起業にて共同、報告書リンク
・2020年度履修、三田真志郎、ベンチャーを起業(iclub・助成金・特許)、報告書リンク
・2020年度履修、大杉清之、起業のための活動(iclub)、報告書リンク
・2023年度履修、星牟禮健也、事業化実践(AKATSUKIプロジェクト)、報告書リンク

授業計画例(開始時期はいつでも良い)

・2月~3月:該当学生へのアンケート(事前アンケート、前年度、HW生のみ)
・4月:説明会の開催(少人数の場合は個別対応)
・5月:計画書の提出
・6月~1月:活動の実施と定期的な活動の報告
・2月ごろ:報告書の提出(報告会での発表を行う場合もある)

学振特別研究員である学生の履修について

特別研究員は起業や経営活動をしてはいけないルールになっています。この理由はざっくりいうと、税金から研究員としての労働に対するお金をもらっているのに、その研究をすべき時間を使って自分の金稼ぎをしてはいけない、みたいなことからです(専任義務の観点。下記参照)。しかし本科目を履修している間は、起業や経営活動をすることが認められています。ただし、以下の2点を必ずお願いします。

  • 起業する場合は定款を大学本部に提出する(個人事業主の場合は要相談)
  • 履修完了後に特別研究員が継続している場合は廃業する(本科目は通年科目なので、3/31までの履修完了後に特別研究員を継続していなければ、事業を継続できます)

以下に、公式文章としての、「特別研究員FAQ(よくある質問と回答)by 研究推進課学術研究推進係 H30.3月」の文章を載せておきます。

Q. 博士課程リーディングプログラムの科目履修で、ベンチャーを起業したり、経営することが単位取得の要件となっている場合は、特別研究員の身分を持ちながら起業や経営をしてもよいか。

A. 当該事例は、授業の一環で単位取得を目的として行う場合であるため、特別研究員採用中に当該講義を受講することは可能です。ただし、特別研究員の採用が継続している者が履修を完了した時、廃業するという条件のもとで起業するようにお願いします。また、講義を履修し、実際に起業することになった場合には、定款を本部に提出するようにお願いします。なお、廃業に関しての条件は、すでに起業している特別研究員の内定者へ、学振から廃業を依頼している経緯があるため、公平性の観点から現状では撤廃する余地はあまりありません。

以下に、専任義務についての記述を乗せておきます。以下より抜粋→ https://www.jsps.go.jp/file/storage/general/j-pd/data/tebiki/r4/r4_1_tebiki.pdf

研究専念義務
特別研究員は、出産・育児に係る採用中断及び病気を理由とする採用中断の扱いを受ける場合を除き、採用期間中、申請書記載の研究計画に基づき、研究に専念しなければなりません。したがって、原則として研究課題、研究計画の変更はできません。但し、研究計画については、研究の進展状況による変更の必要があれば必ずしもこの限りではありません。また、特別研究員の研究課題の研究遂行に支障が生じるおそれがあるため、採用期間中、報酬を受給することは、原則禁止しています。但し、次の①~⑤の事項を全て満たす場合に限り、報酬の受給を例外的に認めています。(P.41「Ⅷ よくある質問」設問5~7参照)
①特別研究員の研究課題の研究遂行に支障が生じないこと
②特別研究員の研究課題の研究遂行に資する職であること
③将来大学等の教員・研究者等になるためのトレーニングの機会となる職 ※1であること
④常勤職及びそれに準ずる職 ※1ではないこと
⑤従事する前に受入研究者に「特別研究員報酬受給届<様式 16>※2」を届け出、受入研究者が①~④に該当すると認めていること。
※1:報酬の有無にかかわらず、営利企業の役員になることや、自ら営利企業を営むこと等はできません。その他、具体例については P.41「Ⅷ よくある質問」設問5~7を参照してください。
※2:毎年の研究報告書を提出する際に、「特別研究員報酬受給届<様式 16>」の写しを本会へ提出してください。
※:勤務場所及び勤務時間数等について一律の制限は課していませんが、特別研究員の研究課題の研究遂行に支障が出ているのではないか、という疑念を持たれないよう注意してください。
※:報酬を受給するにあたって、雇用関係は要件としていません(講演料、原稿料、謝金、委員手当や業務委託でも可)。
判断に迷う場合には、本会(03-3263-4998)まで、お問い合わせください。なお、本会以外から別に収入を得ている場合には、個別に所得税の確定申告(毎年2月中旬~3月中旬)を行う必要があります。

 

学生がグループで起業したときの、公式な証拠が無い立場の学生について

  • 以下の3つを全て満たす場合に認める
    • 1.創業の3ヶ月以上前から始まるなんらかの活動の記録があること。
      • 活動の記録とは、何かのイベントの写真など第三者にも証拠となるモノが望ましいが、場合によっては、内部の議事録なども認められる。
    • 2.なぜ社員で無いなど公の証拠が残らなかったのかの理由を記し、それでもなお実際に価値創造に従事した日時や会議の日時、作業内容をリストにして該当学生がまとめ、提出すること。創業者がそれを確認する署名捺印を行う事で価値創造に貢献した証拠とする。
    • 3.担当教官が創業者および該当者の双方にヒアリングを行い(形式自由)、これによって該当者の活動が認められること。
  • 提出物は以下(履修生内で可能な限り共有。共有できない場合は要申告。)
    • 報告書(体験記を含めA4で4ページ程度→フォーム。自己評価書も添付→フォーム
    • 活動記録、成果や寄与、および公の証拠が残らなかった理由(様式自由、創業者の署名捺印)