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令和元年度「ヒューマンウェアイノベーション創出論」 (一年次必須講義/一般特別講演) 開講

一年次必須講義でもある「ヒューマンウェアイノベーション創出論」が開講します。
各界の第一人者としてイノベーションを起こしてきた著名な先生方全8名を講師に招き、一方的な講義ではなく双方向性の高い講義を予定しています。
履修生以外の方もご参加可能な一般講演です。履修生以外で参加を希望される方は、事務局まで事前にご連絡ください。

ヒューマンウェア セミナー合宿2019 ~修了生も大勢参加~

第7期生を迎え、ヒューマンウェアの運営体制も新しくなって落ち着いた7月、3連休の7月13~15日(2泊3日)にてセミナー合宿を行いました。これは1年次の必須科目である「ヒューマンウェアセミナー」の一部でもあります。

合宿のメインの目的は、ヒューマンウェアの新入生から上級生や教員、そして修了生までが繋がること、さらにその多種多様な分野と哲学を持つ人達との議論により斎同熟議を行うことができる能力をはじめとして、グローバルリーダーとして必要な様々な能力の基礎を獲得すること、そして履修生が修了後、さらにはその数十年後といったビジョンを構築するための基盤を得ること、などです。さらに、個々の学生は、それぞれが予め各人の目的を掲げて挑みます。

今年は新入生と同じぐらいの人数のヒューマンウェア上級生に加え、なんとこれまた同じぐらいの人数の修了生も参加しました。皆すでに大企業、ベンチャー、大学など、様々なところで活躍している博士ですので、ボランティアでこれだけ集まってくれるのはとてもありがたいことです。また教員も過去最高の人数が参加し、さらに修了生プレゼンツで世界最高峰の研究所であるMITからもゲストを呼びました。具体的な内容は、議論をメインとしたグループワークや実践コンペ、ポスターセッションやパネルセッションなどを、朝から晩まで嫌というほど詰め込めるだけ詰め込んで、深い交流とその後の行動のきっかけになるようなものにしました。この内容に関しては、例年は4月開催だったため、融合研究に関連する深い議論(斎同熟議)を基盤として、目標とする人材に必要なものを教員と上級生との議論により決定していました。しかし今年は7月開催としたため、新入生の意見もその内容の決定に関わり、今年も有意義で素晴らしいものになりました。

この合宿では毎日、朝から晩までみっちりと頭を使って議論を行いました。正に斉同熟議であり、今年も終わった後にはみんなヘトヘトです。また前回に引き続き、英語しか使ってはいけない時間がインターバルで半分あるため、さらに大変だったでしょう。それでもやはり、今年度の新入生も、先輩の学年とは違ったカラーを持ち、とても個性的かつ元気があって志が高い面々が集まりました。相変わらず人材に恵まれたプログラムです。この新入生同士の深い議論はもちろんのこと、さらに先輩や教員との深い議論もみっちりと行われ、とても充実して楽しい合宿となりました。今年度も楽しんでいきましょう!

最後に、本セミナーの趣旨に賛同し、ボランティアでご協力いただきましたヒューマンウェア修了生の皆様、およびやはりボランティアで招待講演や斎同熟議への参加により合宿をさらに素晴らしいものにしてくださったMIT media labのPranam Chatterjee様に、心より感謝を申し上げます。ご協力ありがとうございました!!!

2019年度合宿の様子(盛りだくさんですが、ほんの一部を切り取りました)

ウェルカム新入生! さっそく議論&特訓。そして哲学を語りましょう!

  

  

上級生や修了生、ゲストが参入。物凄い熱気です!!!

  

ゲストトーク by Pranam Chatterjee 様 From MIT media lab! 修了生から紹介です!

  

ドンドン議論して、創造して、発表して、議論して、評価して、また創造して!!!

  

  

ソフトとハードをいじってアイデアをつめて対戦ゲームを作成。各チームのゲームで対戦!

  

お疲れ様でした!!!

新入生の声

佐藤 優志(基礎工学研究科)
3日間めっちゃ楽しめました。特に自分語りタイムは、自分が発表するのも他人の発表を聞くのもどちらもめちゃくちゃ楽しかったです。この時間を通して同級生のまだ知らない一面を知れました。また、先生方や先輩方と様々な話題について深く議論することができ、考え方や今後の生き方の参考になりました。最後に、今回の合宿を通して自分の英語力のなさを痛感したので、今後は英語力の向上に励み、来年の合宿でリベンジします(笑)

村上 隼斗(生命機能研究科)
脳に汗をかく3日間だった。リーダーシップ、ファシリテーター、ブレインストーミングの理論を自分なりに解釈し、グループディスカッションで実践することができたので、これらのスキルが確かに身に付いたという感覚を得られた。

ZHU RUIYUN(情報科学研究科)
今回の合宿はとても楽しいです。同級生たちと仲良くしたり、先輩たちから助言をもらったり、そごく充実の三日間過ごしました。普段あまりしゃべらない英語を強引に使わせられた。案外おもしろかったです。みんなの人生の哲学というセッションでみんなは人生に対してどうんな態度か、自分の未来ビジョンにどう考えているのかおもしろい話をきいてもらいました。また上級生と一緒にHackthonでゲームを作った。ハードウェアには苦手だけど、先輩たちと協力していいゲームを作り上げた。貴重な思い出になると思います。

稲垣 理也(基礎工学研究科)
合宿の一番の学びは、自分のアウトプット能力の低さに気づいたことです。特にディスカッションでは、自分の考えをうまく伝えられなかったり、そもそも自分の考えが浅かったりと多くの課題に直面しました。また、同期や先輩の物事に対する考えの深さやそれを発信する能力の高さには驚かされました。今後もこのような人たちに囲まれた環境で様々なことを吸収し、自分の成長につなげていきたいと強く感じた3日間でした。

矢島 正和(情報科学研究科)
周りの人の発表の仕方や考え方が何歩も先を行っていて、自分の力不足を認識した三日間だった。しかし、周りの良い所をどんどん参考にして挑戦することで、自分を高められた三日間でもあった。合宿に行く前は、自分が表現したいことを端的にまとめ、且つ相手に興味を持ってもらえるように発表することが苦手だった。しかし、1分間スピーチを何十セットと繰り返したおかげで、少し自信が持てるようになった。先輩方とお話ししたり、考えたこともないテーマで議論したり、非常に楽しい合宿だった。

影山 雄太(基礎工学研究科)
今回の合宿で行われたプログラムはどれも本当に素晴らしいものでした.そのほとんどがグループワークであったが,どれも,各個人が自身の役目を自覚し,遂行するだけではなく,仲間と協力しなければ成り立たないプログラムでした.そのため,合宿を乗り越えたことで,個の力と集団の力が身についたと思います.

代表レポート 谷口 大(基礎工学研究科)

7月13日から15日の3日間、ヒューマンウェアイノベーション博士課程プログラムの合宿に参加し自分の中で大きな人生のターニングポイントになったため、忘れないように文章として残しておこうと思います。長いです。

ヒューマンウェアイノベーション博士課程プログラムとは、博士課程教育リーディングプログラムの1つで本科とは別に生命、情報、認知が専門分野の人達が集まり融合研究を行うプログラムです。自分は大学院に入学すると同時に本プログラムに7期生として参加しています。そのプログラムの1つのイベントとして、今回参加した合宿がありました。プログラムの内容はリーダーシップやイノベーションについての講義、ポスター発表、ディスカッション、クイズ大会など、とても濃密なものでした。その中でも自分は、各学生の人生哲学を4分間で語ることと、夜の懇親会で先生、OBOGの方と話すことができたことがとても貴重だったと思っています。

各学生の哲学では、それまであまりよく分かっていなかった同期のキャラが面白い程ハッキリし、各学生1人1人が異なる芯をもって生きており、どれも興味深かったです。実際これを機に同期との距離が縮まった気がしており、今後同期と一緒に研究していく未来に本当にワクワクしています。これは自分が振られたらいつでも話せるように、話す内容をブラッシュアップしておきたいと思いました。正直今回はグダグダな部分もあったので。

ただ、今回一番貴重だったのはヒューマンウェアのOBOGの方と話すことができたことです。本合宿には10名以上のOBOGの方が来てくださいました。その方達と自分はキャリアについての相談を中心に行いました。話していく中で思ったことなのですが、どの先輩も十人十色なキャリアを歩んでおり、王道と言えるものはありませんでした。中には、博士を取って水族館のお姉さんをやっている人もいたり、超有名IT企業を蹴って日系大企業に就職している人もいました。はじめはそのようなキャリアに疑問を持ちましたが、話していくとそれぞれが自分の強い意志を持って進路を選んでおり、どれも本当に魅力的でした。それにより「博士を取るのだから研究開発職に就かないと損」という様な自分のバイアスが完全に崩壊し、自分が今までに持っていた「自分に合ったキャリアを見つける」という考えが「自分だけの面白いキャリアを歩む」という考えに変化しました。また、ベンチャー企業に就職したOBの方から将来安定するためのキャリアについての話が印象に残っています。その方は、「大企業だからといって安定しているということはない。自分で実力をつけてどこでも働けることが真の安定になる。大企業に入ると研修が長く、その間は実力が付きにくい。ベンチャーなら入社後すぐに仕事が振られ、否応なしに実力が付く。」という趣旨の話をして頂きました。話し方がとても格好良く、純粋に納得しました。自分が大切だと思う力を見極めてしっかりと磨いていこうと思ったのと同時に、「格好良く話して人に影響を与えることができる存在になりたい」と思っています。

OBOGの方とは自分の研究についても話したのですが、自分の研究についての考えも変化しました。変化したことは2つで、「研究室ベースではなく自分ベースで研究室を利用する」という考えを持つことと、「自分の研究は面白い」と確信したことです。

今回、自分の研究内容が比較的分かりやすいというものあり沢山の人に興味を持って頂くことができました。自分の研究は周りと比べ、研究と言っていいか分からないようなテーマで研究を行っており、実際に「これ研究になるの?」と言われることもあり不安がありました。ですが今回、沢山の人から様々な助言を貰うことができ、特に研究室が同じであったけれども自分が研究室に入った時には既に卒業していた大先輩からは涙が出る程濃密なアドバイスを頂くことができました。中には「論文化したら教えて!」と言って頂ける先輩方もいて、研究のモチベーションが大きく向上して嬉しすぎて泣きそうにもなりました。また、研究室が主体ではなく自分が主体で研究を考えるべきだという指摘も頂きました。特に自分は、自分の研究テーマは研究室から与えられたもので大きなプロジェクトであるため、プロジェクトに貢献しないといけないという考えを少なからず持っていたのですが、「そんなことは全く気にせず自分のやりたいことをすれば良い。学生だからそんな義務は無いし、なによりその考えでは面白いものはできない。」という趣旨の話をして頂き、納得すると共に自分のやりたいことの為に研究室を利用するという考えが強くなりました。今後は、完全に自分の為に自分の研究を行っていきます。

また、自分は博士課程に進むかどうか決める上で考えすぎだということも分かりました。まだ全然知らないことばかりなのに少ない情報で迷っても仕方が無くて、そんなときはもう勢いで決めるしかないという趣旨の話を頂き、実際に博士に進んだ先輩方も勢いで進んでいた人も多かったように感じました。それで現在とても楽しそうだったので、やはり無駄に考えすぎるのは良くなくて、勢いで舵を切ることは大事だと感じました。これは合宿中のリーダーシップの講義で、リーダーとはどちらが上手くいくか分から無い時に舵を切れる存在という話にも結び付きました。

長くなりましたがまとめとして、本合宿で自分は多くの人から影響を受け、博士課程に進学することを決心しました。
理由は、
・純粋に自分の研究を進めたい。
・自分だけの面白いキャリアを歩みたい。歩む上で自分の場合は博士課程が必要。
・OBOGのように周りの人間に大きな影響を与える人間になりたい。
の3つです。先生にはよく、免許として博士があると全然違うよと言われるのですがこれはまだピンと来てないです。ですがそれを抜きにしても博士課程に進学したいと思っています。

今回の合宿で、博士を取ったOBOGと話して自分も他人に影響を与える人間になりたいと心の底から思えたのが一番大きな変化です。OBOGが存在する7期生としてヒューマンウェアイノベーション博士課程プログラムに所属することができたことが本当に幸運でした。まずは本合宿で得たものを忘れないようにし、自分を通じて周りの人間にも伝えていきたいと思っています。とりあえず親族に博士課程進学を認めてもらうために、なぜ博士に行くのかについてのプレゼンでもしてみようと思います。

 

 

エキスポシティでアウトリーチ(学外アウトリーチ2018)~出張実験@EXPOCITY Lab~

10月27日(土)の11:00~16:30に、吹田市の万博記念公園にある、日本最大級の大型複合施設 EXPOCITY(エキスポシティ)にて、一般の方々を対象に、履修生の研究活動についてのアウトリーチを行いました。

このイベントは2年次のカリキュラムであるアウトリーチ実践の一環として行われました。アウトリーチ実践では、まず7月に座学の集中講義で、JST 日本科学未来館の科学コミュニケーション専門主任(兼、知識流動システム研究所フェロー)である森田由子先生、および東京大学にて科学コミュニケーションを専門とする関谷翔先生(元JST科学コミュニケーションセンター)から、アウトリーチやコミュニケーションのオーバービューを教わります(先生方、いつも履修生の教育にご協力いただき、誠にありがとうございます)。その技法を実践する機会として、このイベントでは学外において学外の方々に、履修生自身が考えたテーマにより、企画・準備・実施を行いました。

本年度開催地であるEXPOCITYは、HWプログラムでも前例がなく、初めての試みでした。もちろん商業施設内でのアウトリーチ自体が、履修生にとっては初めての経験です。前年度までの例も参考にしながらも、ほとんどすべてが新しい試みであり(EXPOCITY Labも、この日が記念すべきOpenの日となりました)、学生は議論を重ねて様々なアイデアを寄せ合い、大胆に実行することで、当日は大盛況でご来場の皆様にも大変ご満足いただけたイベントとなりました。ご関連およびご来場の皆様、誠にありがとうございました。

毎年、同級生による共同作業を学生のみで運営するため、全体統括やサブリーダーなど、役割を決めて運営しています。カリキュラムの一環ですが、詳細な要求はありませんので、日程や内容もすべて学生が決め、実行します。企画段階から、履修生はEXPOCITY(三井不動産)の木村様、佐藤様にご相談いただき、ご来場の方々の層などを教えていただいた上で、履修生の「やりたいこと(お子様やそのご家族に科学への興味を持ってもらいたい)」を目的として、テーマ、内容とスタイルを考えました。さらに、阪大マスコットであるワニ博士を呼んだり、様々な場所にチラシをお願いしたりなど、広報活動でのアイデアや実行力も素晴らしかったです。具体的には、以下の5つを同時進行し、大変素晴らしいモノになりました。

1.ミニ実験教室(地震に耐える建物、自動運転ロボットの実習)
2.展示ブース(光、酵母、筋肉についての実演)
3.科学者なりきりコーナー(白衣を着て実験器具を使ってみる)
4.ワードを集めてみよう(科学のキーワードがなぞなぞとしてExpocity各所に)
5.ワニ博士と写真をとろう

履修生たちは全くどういうモノになるのか予想もつかないまま、当日を迎えましたが(もちろん教員も三井不動産の方々にも初めてでした)、不安をよそにたくさんのお客様にご来場いただき、大盛り上がりとなりました。また、ご来場の皆様の科学技術に関するご関心はとても高く、お子様方もとても積極的にご参加いただき、何度も「次はいつやるの?」というお声を頂くなど、一同とても嬉しく思っておりました。不慣れなことに加えてかなり混んでいたこともあり、多くの方々にお待ちいただいたことに大変申し訳なく思っておりましたが、皆様に温かく受け入れていただきましたことにとてもありがたく、そして嬉しく思っております。

このように、大阪大学の外に対して、大阪大学の期待の学生たちによって、自分たちでデザインして実施し、情報発信をするとともに、その本番を通してアウトリーチを学びました。

この学外アウトリーチは、エキスポシティ(三井不動産株式会社、三井不動産商業マネジメント株式会社)、大阪大学21世紀懐徳堂、大阪大学企画部広報課の多大な協力を得て開催されました。特に三井不動産の皆様には、最初の計画段階にてアイデアを頂くところに始まり、当日の実施はもちろんのこと、最後の撤収まで本当に温かいサポートをいただき、誠にありがとうございました。エキスポシティは単なる商業施設ではない、「『遊ぶ、学ぶ、見つける』 楽しさをひとつに!」をテーマとして教育も融合した総合施設であること、そしてそれにかけるご担当者様たちの熱意を、を改めて実感しました。

 

当日の様子

 

 

 

 

履修生の声

福永 裕樹(総合リーダー)
僕は、EXPOCITYチームの幹事を担いました。私たちのチームは目標として、「小中学生、ひいてはその家族に科学への興味を持ってもらう」ことを掲げました。実際に行ったことは、「ワニ博士を招聘しての写真撮影」、「自身の研究に関するポスターを掲示し、お客さんにはそこから答えを探し出してもらうワード集め」、「実験教室」、「自身の研究に関する展示」です。イベントを企画するのはこれが初めてだったため、計画を立てたものの不備が目立ち、また、上手くチームのメンバーに意図が伝わらなくて苦労したりもしました。僕自身も含め皆、自身の研究で忙しく、対面での会議をほとんど行えませんでした。そのため、メッセージアプリでのやり取りがほとんどで、流し読みでも大事なところが伝わるような指示の出し方を考える必要がありました。イベント当日も計画通りとはいかず、チームメンバーの機転に助けられた部分が多々ありました。その他にも、多くの面でチームメンバーには非常に助けられました。三田君には、計画をまだ突き詰められていない段階にも関わらず、とてもクオリティの高い広告を作ってもらいましたし、イベント会場のデザインも考えてもらいました。八木君が適宜アクセル役をしてくれたため、滞ることなく計画を推し進めることができました。岸田君が作ってくれたワード集め用ポスターのテンプレートのおかげで、ワード集めのコーナーも大成功でした。姜君のロボット教室は非常に好評でしたし、メッセージアプリでのやり取りでもすぐに反応を返してくれたのでとても助かりました。井本君は皆が嫌がったワニ博士役を率先して引き受けてくれました。佐々木君は計画を立てる際に、あいまいにしてしまう点を細かく指摘してくれました。今回のアウトリーチでは特に、計画を立てることの難しさ、それを過不足なく実行することの難しさを学びました。ただ、アンケートの結果、イベントの満足度は5点満点中4.5点だったことや、「またイベントをして欲しい」というコメントをいただいたことを考えると、概ね、イベントの出来としては成功といえると思います。そもそも、僕が本イベントの幹事を引き受けたのは、研究者ではない方々へのアウトリーチ活動が、研究活動の一環としての重要度を増していると感じているからです。近年、科学への、特に基礎研究への投資が減っており、研究者自身が資金を集める必要が出てきました。政府に科学への投資を求めるにしても、自身で資金を集めるにしても、世間の人々の科学への理解が不可欠です。世間では、一般の人、特にこどもの科学離れが問題視されています。しかし、今回のアウトリーチ活動でのお客さんの反応を見ると、みんな科学自体には興味がある様子でした。ただ、理解がしづらく、難しいものとして敬遠しているだけです。本イベントは、いかに分かり易く、科学のおもしろさを伝えればよいのか、考えるきっかけにもなりました。

三田 善志郎
エキスポシティ等様々な場所で一からイベントを企画するという試みは、教員経由でないと実現の難しい貴重な体験となった。どこまでが学生の力で可能であり、どこから教員の力を借りるべきかという判断基準について学べた。

姜 淳熙
学外・学内の両方の幹事をさせてもらったが、どちらからも得たものが多く、やってみてよかったと思う。自分の研究を行いつつ幹事を行うというのは大変だが、本講義を通じて自身の長所・短所について気付かされたことも多く研究を続ける上で決して無駄にはならなかったと思う。次年度以降のHW履修生達にもリスクを恐れず積極的にチャレンジしてもらえればいいなと感じた。

学生による学生のためのプログラム紹介 (学内アウトリーチ2018)

2018年12月12日に吹田および豊中の同時開催(遠隔による継続中継)で、履修生によるプログラム紹介が開催されました。このイベントはHWプログラム2年次の必須カリキュラムであるアウトリーチ演習の一環として行われました。アウトリーチ演習では、まず7月に座学の集中講義において、JST 日本科学未来館の科学コミュニケーション専門主任(兼、知識流動システム研究所フェロー)である森田由子先生、元JST科学コミュニケーションセンターの関谷翔先生から、アウトリーチやコミュニケーションのオーバービューを教わります(先生方、いつも履修生の教育にご協力いただき、誠にありがとうございます)。そして教わった技法を実践する機会として、学内や学外で履修生がアウトリーチ活動に取り組みます。今年度の学内アウトリーチは5期生の履修生が企画・準備・実施の全てを行いました。

今年度の学内アウトリーチでは、次年度からヒューマンウェアが全学にひらかれることもあり、文系の学生にもフォーカスを当てて企画されました(全学には、大阪大学高度副プログラムとして提供される予定です)。このために、入退室自由で複数の相談役とデスクが待つ、相談窓口のようなスタイルをとりました。対象とする学生にとって知りたいであろう情報をコンセプトとして企画しました。これらは学年を超えて昨年度を参考にしたものです。具体的には、大学院進学についての進路相談や、プログラムの履修情報、異分野の学生が集い生まれた融合研究の紹介、そしてAIによる顔認識のデモなどを通した履修生との交流などを提供しました。結果として、多くの学部生来訪者にお越しいただき、相談に答えることができました(アンケートでは全員に満足と回答してくことができました)。

 

以下は、イベントの実行委員を務めた履修生の声です。

情報科学研究科、富田 風太

今回の学内アウトリーチは,来年度から高度副プロとして開講されることから,文系にターゲットをあわせるように企画した.幹事の仲間や教員の方々に色々と助けていただきながら,最終的に当初の目標をある程度達成できたことは達成感があり,皆さんに感謝しかありません.たくさんの反省を今後の活動に活かしていきたいと思います.

生命機能研究科、姜 淳熙

学外・学内の両方の幹事をさせてもらったが、どちらからも得たものが多く、やってみてよかったと思う。自分の研究を行いつつ幹事を行うというのは大変だが、本講義を通じて自身の長所・短所について気付かされたことも多く研究を続ける上で決して無駄にはならなかったと思う。次年度以降のHW履修生達にもリスクを恐れず積極的にチャレンジしてもらえればいいなと感じた。

 

シリコンバレー・サンフランシスコ研修2019(ヒューマンウェア・北米センター共催)

研修概要

2019年2月25日から3月7日にかけて,HW6期生の斎藤・吉村の2名がアメリカのサンフランシスコベイエリア (通称シリコンバレー,以下SV) およびロサンゼルス (以下LA) を訪問し,企業訪問研修を行いました.この研修では世界のイノベーションの発信地といっても過言ではないSV・LAで活躍している約15名の皆様にインタビューをさせていただき,

「なぜSVが世界のイノベーションの中心地となっているのか?」
「イノベーションを起こすためにはどのような人材が求められているのか?」

という疑問を調査しました.そして私たちが身につけるべき素養について考えることを目的としました.今回は,私たち(斎藤・吉村)が目で見て肌で感じたSVのエコシステムと活躍しているマインドセットに関して,多少主観的な部分も多いですがまとめました.少しでも多くの皆様と今回の研修で学んだことを共有できればと思います.

 

訪問先一覧

今回訪問させていただいた皆様は以下の通りです.

Apple Inc. (2名)
Google (2名)
Stanford大学 (1名)
Panasonic (3名)
MBC BioLab (1名)
大阪大学北米拠点 (2名)
Uber (1名)
Fujita Americas (2名)
TATA Consultancy Service (1名)
KPMG (1名)
[Meet Up] JSNC “Disruptive Transparency: Blockchain’s Impact on the US and Japan”
 (JSNC = Japan Society of North California)
[Meet Up] “
JSPS Abenomics in the 7th Year: Has it Worked?
(JSPS = 日本学術振興会)

今回の訪問において大阪大学北米拠点の長谷川先生・東澤コーディネータのお二方には,ご紹介および現地でのバックアップなど大変お世話になりました.「大阪大学北米拠点」は大阪大学の海外拠点の1つであり,現地でのネットワークの構築や留学生を含む私たちのような研修生とのバックアップを行ってくださる部署です.次節で詳しく触れますが,欧米文化はコミュニティのつながりが非常に強く,端的に言えば「一見さんお断り」の文化だと感じました.歴代の北米拠点の皆様がSVのネットワークの中に入り込んでくださっているからこそ,新参者の私たちが充実した研修を行う事ができました.

北米拠点は阪大生の中でも十分に知れ渡っているわけではなく,北米拠点から様々なサポートをしたくても学生へのコンタクトができない場合が多いそうです.この記事を読んでくださっている阪大生でサンフランシスコに行く事があれば,ぜひ行く前にコンタクトを取ることを強くお勧めします.

大阪大学北米拠点 HP
http://www.sf.overseas.osaka-u.ac.jp/

    

 

SVのエコシステム == 一見さんお断り==

閉鎖的コミュニティ文化

この訪問において最も強く印象に残ったことは「SVは閉鎖的」であるという点でした.訪問前は私はあらゆる場所であらゆる人がアイデアを出し合って無制限にコラボレーションをすることで,インパクトがあるアイデアが生まれてくると思っていました.しかし、訪問を通してこのシステムは信頼の上に成り立っており,コミュニティの内部だけで起きている現象だと感じました.「よそ者」と「仲間」の区別がはっきりしており,よそ者は基本的に相手にしてもらえません.コミュニティの中に入るためにネットワーキングや専門性,趣味など様々な努力が必要となっています.今回参加させていただいたようなMeetupに参加したり,趣味のテニスでコネクションを作っている方もいました.わかりやすい表現として,「テニスはPh.Dより役に立つ」というお話も聞きました(事実かどうかは別として).

産学連携と資金の循環 (1) = インキュベーション施設 =

一方でSVの成功は,この閉じたコミュニティの中で人材と資金が産学をまたいで健全に循環していることが重要な要素であると感じました.特にバイオベンチャーのインキュベーション施設 (複数の小規模ベンチャーにオフィスを貸し出し,支援を行う) を 訪問させていただいた時にそのように感じました.ライフサイエンスの研究を行うには高額な実験設備が必要です.しかし創業初期のベンチャー企業にはこの地価の高いSVでこのような設備を用意することが難しいため,このような施設が特に重宝されているとのことです.

このインキュベーション施設に入ってくるベンチャーは大学発のものが多いそうです.これは多くの企業が大学との直接的な共同研究において失敗を経験し,新技術の獲得のために研究への投資ではなくベンチャーの買収を選ぶことが多くなってきているためです.これに気付いた大学側は,ある程度技術が確立すれば 「ライセンス ⇒ スタートアップ ⇒ 買収」というサイクルを作り,買収後のライセンス料金で研究資金を確保する流れを作るようになっているのだと言います.また必ずしもスタートアップは成功するわけではないので,もし立ち行かなくなった場合は大学に戻るという流れもあるそうです.これは大学から企業へ資金と人材の両方が流れている一つの例だと思います.

産学連携と資金の循環 (2) = スタンフォード大学 =

SVにはStanfordとUCバークレーというCS系で著名な大学が2校立地しています.どちらの大学も画像処理の分野で世界トップクラスの研究室があります.Stanfordで研究をされている方によると,プロジェクトのためにこれらの研究室間で学生の移動 (取り合い) は珍しくないそうです.さらにこのトップレベルの教育を受けた学生は卒業後GoolgeやAppleなどSVの企業で活躍します.実際に今回お会いした方にも,このルートを辿っている方がいました.またStanfordは応用よりの研究が得意分野であり,企業からの資金集めがとても上手です.かなり特異な例ではありますが,今回訪問させていただいた研究室では学生にも自分で研究費を取ることが求められており,研究費を企業などから得られた学生には席が与えられるシステムがあるそうです.大学だけでなく学生にも、競争にさらされる中でビジネス的視点が求められており,在学していながら産業界の視点がある程度は身につくように感じました.

産学連携と資金の循環 (3) = まとめ =

伺ったお二人のお話から,産学が金銭面と人材面で深く連携していることが見て取れると思います.学生のうちから企業人的な視点が身につく環境が整っているように感じました.また優秀な人材はSVに集まったのち、残り続け,資金もSVの中で循環していることが世の中にインパクトがあるアイデアを次々と生み出していく根幹にあるものだと感じました.日本でもインキュベーションセンターの設立や大学初ベンチャーの推進が行われていますが,日本にはこの循環があるとは考えにくく,SV式をそのまま真似をするのではなく日本文化独自のアイデアが必要だと感じました.

ポイント

  • SV (欧米文化) はコミュニティ意識が強い.コミュニティの中に入れるか否かで,出来ること得られる情報が変わる.
  • 産学が経済と人材の両面において深く連携している.人と金はSVのエコシステムで循環している.
  • 大学 (先生と学生) もお金への嗅覚が鋭い.

吉村の一言

このSVのエコシステムを知ることができたことが,今回の訪問の最大の驚きであり,最大の学びだったと思います.まず「SVに行けばクリエイティビティに溢れた最高の環境がタダで転がっている」というのは幻想でした.まず現地で働けるだけの基礎的なスキルをつけるとともに,コミュニティに入るための趣味やコミュ力などの魅力を今から育てていかなければ行けないと感じました.具体的に何が魅力になるかはわからないので,まずはラボに引きこもることをやめて,今までやっていたスポーツや読書などの趣味を意識的に継続してやっていこうとおもいます.

齊藤の一言

日本では勤続数十年や会社の安定を求めることが多いと感じています(少なくとも私はそう感じていました).一方で,SVではレジュメ(履歴書)を充実させていくことで自身の価値を証明していきます.そのために,長くとも2.3年で転職し,それぞれの価値を高めていました.これはヒトの流動性だけでなく,企業の多様性を確保することにも寄与していました.この流れは企業だけでなく,大学内にも存在しており、優秀なヒトほど外に出す・連れてくるという流れが存在していました,

一つの場所に固執するのではなく,仕事を通して自身に対する価値をどれほど作れるのかは強く感じました.今回の研修を通して私自身新たな価値観を獲得できたと感じています.それは,外の景色に足を踏み込んだからこそ感じることができたので,意識を外に向けることは大変重要と感じました.

 

SVで活躍する人々 == SVマインドセット ==

今回お会いした方々のマインドセットは大きく2パターンに分類できるように感じました(大変主観的であることはお許しください).

Type.1: その時その時に面白いと思ったことを全力でやる方
Type.2: 環境を求めてきた方 (評価軸,子供の将来性)

今回お会いした方の中では,Type.1に分類すべき方々が圧倒的に多く感じました.その中のお二人に「最終的な目標はなにか?」という旨の質問をさせていただきました.するとお二人から「わからない」という答えが返ってきました (少し盛ってます).ただしこの後にほぼ必ず「やり始めたことは常に全力でやる」「次にやりたいことは,今全力でやっている事が終わるまで考えられない」という趣旨の言葉が続きます.これは私の主観的推測ではありますが,その時興味を持っていることを全力で突き詰めることでスキルアップをすることができ,結果として新たに熱意を傾けられる仕事にまた出会うことができているのだと思いました.

Type.2に分類すべき方は,アメリカの個性を尊重する教育および文化を求めている人とも言い換えることができると思います.日本とアメリカでは評価の観点が異なります.日本社会は出る釘は打たれるのが基本であり,日本で自分が評価される将来が描けなかったとおっしゃっていました.一方でアメリカは初等教育の段階から個性・主体性が尊重されます.突飛なアイデアもアメリカでは評価されやすい形になっているので,やりがいを感じられるそうです.また高齢化が進む日本社会への不安から,お子様にグローバルな競争力を身につけさせたいという観点からSVにきている方もいました.この方が求めているものも,英語と個性を尊重する教育だと思います.

ポイント

  • 面白いことを全力でやる.全力で取り組むことで新たなスキルを身につけルことができ,次の面白い事が見つかる.
  • 評価軸が日本とは異なり,「出る釘でも打たれない」

吉村の一言

次を考えられないほど今の仕事に熱中できるのは,幸せでありかつ重要なスキルだとおもいました(羨ましく思う).短絡的ではあるかもしれませんが,今私がやっている研究は将来性と楽しさが感じられるものなので,まずは今よりも全力でやれるところまで突き詰めていきたいと思います.

齊藤の一言

将来の設計を立てることはもちろん大事だが,その時その時を全力で取り組めているかは一番大事な要素と感じました.また,専門外の分野の話をキャッチアップして新しいアイデアがないか議論する「貪欲さ」や,大学で学んだ専門分野に固執せず外に飛び出す「思い切りの良さ」など成長を求め続けている点も重要な要素と感じました.

    

 

SVで求められる人材像 == SVで活躍するためには? ==

まず働き方の一般論として,以下の2パターンがあると思います.

Type.1: ジェネラリストとして働く方法
Type.2: スペシャリストとして働く方法

ソフトウェアエンジニアなどは多くの場合は,Type.1: ジェネラリストとして働くことになると思います.しかし,言うまでもありませんが,SVは非常に競争倍率が高いだけでなく,求められるレベルも極端に高いです.したがって,それ相当な理由がない限りは,ソフトウェアエンジニアとして信頼のあるStanford,UC バークレー,CMUなどの学生を差し置いて日本の学生を採用する理由は特にないのではないかと思います.その一方で,スペシャリストに関しては,今回お会いした方が口を揃えてこのようなことをおっしゃっていました.

「何か専門性を持っていればどこかで必要としている人がいる」

短絡的かもしれませんが,何かのスペシャリストとなることがSVで活躍するための良い選択肢だと言っていいのだと思います.専門性の担保として,Ph.Dと実務経験の2つがあるように思います.特に,Ph.Dは自分の立場をはっきりさせることができるという点で非常に有効であると感じました.

専門性を持つことは重要ですが,今回お会いした方のお話を聞くと,特に単なる専門性ではなく「二刀流」がこれからは求められると思われます.これには2つの理由があります.

  • 2つの専門性を持つことで競合相手が大幅に減る.
  • 新たなプロジェクトを行う上で異分野融合ができる思考力を持ったリーダーへの需要が高まる  (という予想)

これからはバイオとIT,建築とIoTなど大きく離れた分野の融合が進み,この異分野をつなぐことができる思考法が重要になってくるのではないかと言う話をお聞きしました.

また今回お会いした方の一人が次のようなことを仰っていました.

「ジェネラリストからはスターは生まれない、
スペシャリストからスターやイノベーションが生まれる」

それは言葉通りの意味でもありますが,同時にスペシャリストのところにしか人は集まらず,成功にもっていくだけの巻き込み力を有するのもまたスペシャリストだけであるという意味でお話しされていたのだと思います.社会に大きなインパクトを与える仕事をしたいのであれば,スペシャリストとなることは必須条件なのかもしれません.

ポイント

  • 専門性はどこかで必要としている人が必ずいる.また専門性の担保としてPh.Dは有効
  • 二刀流の専門家を目指すべし.競争相手が大幅に減る.異分野を組み合わせる力は今後重要な力となる.
吉村の一言

この異分野融合に関する思考力は,まさにHWIPで身につけることが求められている力の1つです.私が参加しているHWIPの良さを改めて確認できました.

ただし(誰も明にはおっしゃってはいませんでしたが),異分野を混ぜる上で「ユーザ視点のものづくり」と「企業として利益を出す」ことが思考の前提にあるように感じられました.大学の中だけにいては身に着けることが難しいので,自分で積極的に,ビジネスちっくな感覚を身につけるための,何らかのアクションを取っていきたいと思います.

齊藤の一言

求められる人物像を知るうえで、インターンシップの存在は切っても切り離せないものだと思います.

日本におけるインターンシップの役割は大概,就職活動の一部として短期の業務体験を通して企業側が学生に唾をつける意味合いがあると感じています.企業によっては採用者の9割がインターンシップ経験者の企業もあると聞きます.一方,シリコンバレーにおけるインターンシップはその企業におけるコネクションを作るという点では似ているのかもしれませんが,中長期にわたる具体的な業務を実際に行うところに違いがあると感じました.最も大きな違いは学生の主体的なインターンシップへの参加です.先にも述べたようにシリコンバレーで働くには経営者的視点(課題解決力)が大きく求められています.それを養う場としての企業のインターンシップは是が非でも参加したいものだと感じました.当然倍率もかなりのものになるがそれを超えた際の価値は大変大きいと感じました.

    

 

まとめ

今回の研修でSVを直接見る事で多くのことを学ぶ事ができました.快くインタビューを受けてくださった皆さんをはじめ,今回の研修をバックアップしてくださった大阪大学北米拠点の長谷川先生・東澤様,そしてヒューマンウェアプログラムに心より感謝を申し上げます.この他にも本当に多くの方の支援によって北米研修を実りあるものにすることができました.私は博士課程に進みたいと思いますが,もう一度自分の生活を見直し,今回の学びを最大限活かせるように努力をしたいと思います.