肖 恒

第三期生

肖 恒

情報科学研究科 情報数理学専攻

インタビュー

数学の先生との出会い

小学校や中学校の頃は、そんなに成績優秀な生徒ではなかったという。中学校時代の数学教師が、「数学の成績にかかわらず、もっと努力したら、ちゃんと数学ができるようになるよ」と、みんなをいつも励ましてくれるような人だった。その教師のおかげで、それほど得意でなかった数学の成績が伸びた。中学2年の時、数学のテストで一番難しい問題を、クラスで自分だけが解くことができた。それが自信となって、数学だけでなく勉強全体に対するモチベーションが上がり、学力が伸びた。「難しい問題が解けるのが快感でした。勉強の能力が覚醒したみたいな感じ。数学の知識だけでなく、難しい問題に挑戦する勇気を教えてもらいました」。

ロボット工学から、群知能の研究へ

中国の大学では、機械工学を専攻。4年生の時には、卒論のため、ロボットシステムデザインに関する研究を行った。研究内容は、災害時に暗い中で埋もれた人を助け出せるロボットの開発だ。その動きを改善するために、ロボットの頭脳に相当するアルゴリズムの問題に突き当たった。「どうすれば、もっと良くできるか」。その課題に取り組むには、数理的なアプローチが必要だと感じた。

それをきっかけとして、阪大大学院の数理研究の分野に進み、現在は「群知能」の研究を進めている。鳥や昆虫の群れのように、個体間が少し情報をやりとりするだけで、群れ全体が高度な動きを見せる現象をもとに生み出されたアルゴリズムだ。ある複雑な問題を解くときに、ある個体にまかせきりにするのではなく、チームワークを生かして解決する。

日々、大量の数値実験やアルゴリズムの改善に取り組み、現在の群知能の持つ性能の弱点を克服し、まだ世の中にない素晴らしい群知能をつくり出すことを目指している。

多点多線

実際にモノを作っていた工学分野から数学の理論分野に移り、研究を続けて感じたのは、特定の知識を勉強するだけでなく、よい研究者には多様な分野の知識が不可欠ということだ。HWIPの最大の魅力の一つは、いろいろな分野の学生、若手研究者と交流できることだという。

「恥ずかしいと思わない」がモットー。下手でもどんどんクラスメートと会話して日本語も向上させた。学校と家と食堂をぐるぐる巡っている単調な生活を中国では「三点一線」と言うが、それに陥らないように「多点多線」を目指している。「数学だけ勉強すればいい、ではなくて、もっと多様性を維持しなければならないんです。人生も、勉強も、研究も」。

夢は、人々の考え方を変えるような研究成果を生み出すこと。忙しい現代社会の仕事や生活の効率をもっと良くして、生活の質を向上するにはどうすればいいか。「そんな大きなモデルを解くアルゴリズムをつくりたい」。

2017年7月インタビュー