渡辺 美紀

第一期生

渡辺 美紀

基礎工学研究科 システム創成専攻

インタビュー

物事を自分で見極めたい

「本当にそのものに価値があるのか」「自分でつくったらもっと良くなるのではないか」と、実際に自分でサービスを体験したり、ものを触ってみたり、自分でつくれないか試したりするという。そのものの構成要素に興味を持ち、大豆からみそを仕込み、塩と麹と米で三五八漬け(麹漬け)をつくるなど、なんでも自分でつくってみる。

休日は社会で注目されるサービスの体験にでかける。パーソナルトレーニングやボクシング、美容関連のサービス。人の身体と心と、それにまつわる社会サービスに関心を持ち、それらがなぜ社会で注目されているのか、「自分で体感することで物事を見極めたい」と話す。

地雷被害を減らすロボットから人を知る研究へ

中学生の頃、地雷で苦しむ海外の子どもたちを取り上げたテレビ番組を見て、人間ができない危険な作業ができるロボットをつくりたいと思い、大阪大学基礎工学部に入学した。しかし大学で、人間を知るためにロボットをつくる石黒浩・教授の研究に出会い、興味をひかれた。「私は人間ができることを代替するロボットなど不必要だと思っていました。人にとって危険な作業や不可能な作業を代替するロボットこそ必要だと。しかし、石黒先生と話す中で、人間ができることってなんなのか、人間と機械が担うべき役割の境界、そもそも人間と機械の境界自体が曖昧で、うまく定義できないことに気づきました。そこから、作業用ロボット開発ではなく、人を理解するためにロボット研究に取り組み、人を深く理解し、ものづくりをしたい、と思い始めました」。

大学院の最初の頃は、見た目が人に近いアンドロイドを用いて、百貨店で顧客に接客販売を行う対話システムの研究をしていた。ロボットと顧客をつなぐ対話インタフェースとして、自分が発話できる選択肢がタッチパネルに浮かび、自分の気持ちに一番近いものを選ぶ形式で、アンドロイドと客を会話させた。アンドロイドは、顧客の購買を促し、販売実績は優秀な人間の販売員と同程度だったという。そこから、対話とは自分で言葉を紡ぐ必要がどれほどあるのか、その対話原理に興味を持った。対話のために人は対話するのか、何を持って対話は構成されるのか。現在は、人と人との対話を対象に研究を進めている。

自分自身をより理解したい

自分のからだを変えたり、動かしたりしたいという思いから、からだのメタ認知に関心があるという。これは、アンドロイド研究と結びつく部分もあるかもしれないと考えている。アンドロイドは、顔や体をデザインすることができ、美しいとされるバランスなどを完璧に再現できる。「形さえ整えれば、本当に美しいと感じるのか。アンドロイドは究極の美なのか。まだ答えはないのですが、人間の美や、美しいと感じることについて、アンドロイドを使って理解を深めることもできるかなと思います」。

人間を理解するという壮大な研究テーマは、自分自身をより深く理解したいという思いともつながっている。

2017年1月インタビュー