本谷 康平

第二期生

本谷 康平

生命機能研究科 生命機能専攻

インタビュー

宇宙から脳へ

小さい頃の夢は宇宙飛行士だったという。2001年、父と一緒に、日本科学未来館(東京・お台場)の開館のセレモニーで、館長の毛利衛さんと話をし、著書にサインをもらった。宇宙や物理に興味を持ったのは、高校の物理教師をしている父のおかげだという。子どもの頃から、高校の物理クラブの活動に連れて行ってもらった。万華鏡を作ったことや、自動車模型「ミニ四駆」の改造をしたことなどを覚えている。このことが、「科学の世界に足を踏み入れた原体験」だという。

コンピューターやプログラミングにも関心があり、考える器官、計算や情報処理をして出力してくれる器官として脳に関心を持った。「他の生体部位とは違う。中身を知りたい」と、大学は基礎工学部システム科学科へ。1年生の時の見学で、今の研究室を訪れた。実験動物にディスプレイで砂嵐のような視覚刺激を見せて、神経細胞の反応を調べていた。視覚刺激と工学的なシステム解析手法を活用して細胞レベルの特性を解析する脳研究の手法に、「へぇー、そんなことできるんだ」と惹きつけられた。

「鏡像自己認識」に関する融合研究を企画

現在は、脳で両眼から入った情報をどのように処理しているのかを探っている。「研究では、実験動物の日常の世話から、動物を使った実験、データの記録に使うハードウェアの自作、細胞の反応特性の解析やシミュレーションに用いるプログラムの作成に到るまで、幅広く携わることになります」。

HWIPの融合研究では、「鏡像自己認識を機械学習で獲得させる」ことを目指した研究を進めている。研究テーマの企画や、メンバーのリクルートにも中心となって関わってきた。メンバーは、視覚系の専門家や心理系の専門家、同じ学部の出身で現在は民間企業に在籍する機械学習の専門家など。「基礎工学研究科の学生からは、心理物理学の知見や心理学実験のノウハウを得られたり、企業に所属するメンバーからは、ものすごいスピードで更新される機械学習の知見が入ってきたり」、多様なメンバーから刺激を受けているという。

研究を通じて培った強み

HWIPのカリキュラムの一つとして、学外でのアウトリーチ活動にも参加した。大阪・中之島の京阪電鉄なにわ橋駅にある会場で、一般の人を対象に「脳はどのようにものを見ているの?」というタイトルで話をした。全く事前知識のない人に、自分たちの研究をどう説明したらいいか。「脳における視覚情報処理を説明するにあたり、身近なカメラを例にとりあげるといった類推を豊富に盛り込むなど、プレゼンの良いトレーニングになりました」。

将来は、研究者志望だ。どちらかと言えば民間企業の研究者向きかもしれないと考えている。大学院博士課程前期1年の時に、1か月間、企業の研究所にインターンシップに行った経験や、HWIPのメンター制度を通じた民間企業の人とのやり取りが、民間企業に目を向けるきっかけになったという。実験の様々な工程に関わることになる今の研究室のスタイルは、機械的な側面、情報処理的な側面、生物的な側面など、幅広い技術と視点を身につけられると感じている。このことが、将来に活かせる自分の強みになるのではないかと考えている。

2016年12月インタビュー