生命システムをさまざまなスケールで探究

不安定な状態からこそ、
本当に新しいものが生まれる。

柳田 敏雄 特任教授

Yanagida, Toshio

生命機能研究科 特別研究推進講座

柳田 敏雄 特任教授

CiNet(シーネット:脳情報通信融合研究センター)、QBiC(キュービック:生命システム研究センター)のセンター長と、iFReC(アイフレック:免疫学フロンティア研究センター)の副拠点長を務める柳田教授に、融合研究を効果的に進める仕組み作りや本プログラム履修生への期待などについて聞いた。

省庁を越えた融合研究拠点

CiNetは脳と情報科学の大規模な融合研究を進める拠点で、総務省の管轄下にある情報通信研究機構と阪大との連携で設立されました。国立大学は文科省の管轄下にありますから、ここでは省庁を越えた横断的な連携が進んでいるわけです。また一方、文科省管轄下の理化学研究所も、分子、細胞など、生命システムの研究を進めなくてはと考え、阪大と提携してできたのがQBiCです。
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生命システムを分子レベルから脳のレベルまで研究

両センターは、一方は脳と情報科学、他方が分子、細胞レベルの生命システム探究と、一見異なる研究をしているようですが、めざすところは生命の複雑なシステムを解明し、コントロールし、社会に役に立つ「もの」や「こと」を創り出すいうことです。私がこの2つのセンター長になることで、分子から脳のレベルまで一貫して研究できるようになり、融合研究が進めやすくなったと思います。さらにiFReCは、免疫学を生体イメージング技術や情報学を用いて探究していくところなので、それも関連分野と考え、副拠点長を引き受けました。
融合研究を効果的に進めるには、ある程度の規模が必要です。研究室同士の交流だけでは、スケールの大きな研究はできません。CiNetやQBiCは、200から300人規模の研究所であり、質・量ともに世界のトップレベルと戦えると自負しています。

電気工学から生物学へ

私は基礎工学部の電気工学の出身。入学した頃は半導体研究が盛んで、「これからはコンピュータが牽引して日本の産業が発展する」といわれた時代でした。しかし、私は、コンピュータを使いやすく普及させていくのは企業の方々ががんばるところであり、新しいことを発見し、創造することが研究の醍醐味と考え、生命科学の分野に身を投じました。
生命現象は複雑なシステムであり、このシステムを解明し、コントロールできれば、ICT(情報通信技術)の発展にも貢献する新しい技術が生み出せると信じ、情報と生命科学の融合した研究を始めています。

本プログラムを履修する学生諸君に向けて

photo_yanagida02このプログラムで学んでいると、幅広いいろいろな分野の知識をもつことになりますが、逆に、ひとつの分野に限れば、教員のレベルにはなかなか達しないので、「自分には何ができるだろう、何が専門だろう」と、不安定な気分になるかもしれません。しかし、この「不安定」こそ新しいものを生み出すパワーの源です。ブレイクスルーは安定した人には困難だからです。どうか、自分に自信をもって進んでほしい、と言いたい。
今までは、強い、速い、軽いなど、明確な目標に向かって研究を進めればよかったのですが、今は、「何をめざすべきなのか」が混沌としている時代。そういう状況にあっても指針を作り出せる人間になってほしい。私たちも皆さんに普通でない環境を提供して、世界にチャレンジする下地を作ってもらおうと思っています。

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