「コンピュータビジョン」がつくる安全安心・健康長寿社会

計算機がものをみる能力の創成こそ、知能の始まりである。
「みる」知能は、ヒトの生活に変化を与え、新たなイノベーションの始まりとなる

八木 康史 教授

Yagi,Yasushi

情報科学研究科 産業科学研究所 複合知能メディア研究分野

八木 康史 教授

八木教授が取り組んでいるのは、「コンピュータビジョン」とよばれる、計算機処理により、人間が持つ視覚機能のような能力を実現しようという研究分野である。この分野の技術は、古くは郵便番号読み取りから、最近では、我々にとって身近な、デジタルカメラや携帯電話の顔認識や指紋照合、自動車の衝突防止など、幅広い分野で利用されている。八木研究室では、コンピュータビジョンの基本問題からさまざまな応用まで幅広く研究している。

「みること」へのアプローチ

私は現在四つのテーマで研究しています。一つ目は、三次元形状を測る「幾何解析」。例えば、特殊な光のパターンを照射することで、観測物体の奥行きを実時間計測し、その物体の三次元形状復元を実現する手法の研究を行っています。二つ目は、物体表面での反射特性や物体内部での光の振る舞いといった散乱特性といった「光学的解析」の研究を行っています。最近は、生体内部の可視化や材料の違いによる反射特性の解析などの研究に取り組んでいます。三つ目のテーマは、「センシング」です。昆虫、鳥、馬、ヒト、それぞれは、進化の中で最適な構造を持ちます。計算機にも、その目的により最適な目があるはずです。当研究室では、周囲360度が一度に撮影できる「全方位カメラ」について、25年近く取り組んできました。

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キーワードは「ヒト」

広域監視映像では、人は30画素程で映し出され、顔など到底認識できる大きさではありません。そんな小さな画像から、どうやって個人を識別することができるのでしょうか。遠方を歩く人を見て、顔ははっきりとしないが、体格や歩き方から誰が近づいてきたのかわかったという経験をした人は多数いると思います。これは、歩き方にも人それぞれに違いがあり、その動きの違いを捉えることで個人認証も可能であるということを直感的に示す事例といえます。私たちが推進する四つ目の研究は、この人の歩き方から個人を識別する歩容認証技術の研究で、広域監視に唯一利用できるバイオメトリクス(生体情報)として注目を集めています。実際、当研究室の技術は、2009年に日本の警察で史上初の科学捜査に利用され、犯人逮捕に貢献しています。

夢をもつことから研究は始まる

yagi3私たちのような実験系の研究室では、理論、プログラミング、システム開発、実験と、研究にかかる時間も多く「しんどい」面も多いです。しかし、「コンピュータビジョン」の研究が本当に好きで、そこに夢がもてれば、続けられます。何より学生に望んでいるのは、「夢をもつこと」です。漠然としたものでかまいません。とにかく、自分の夢をもってほしいのです。ヒューマンウエアイノベーションプログラムを履修する学生の皆さんも、大きな夢をもって前進してほしい。期待しています。

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