地の利を生かしてオープンイノベーション

可視化によって、さまざまな研究成果が身近なものになる。

下條 真司 教授

Shimojo, Shinji

情報科学研究科 サイバーメディアセンター 応用情報システム研究部門

下條 真司 教授

大阪大学のスーパーコンピュータを効率的に実行するネットワーク研究に携わるかたわら、融合研究の一環として、「可視化」の研究に取り組む下條教授。
以下のインタビューは、JR大阪駅に隣接する「グランフロント大阪」のナレッジオフィスで行われた。

「うめきた」に産学連携施設を開設

このオフィスは、「うめきた」にある大学や研究センター、企業の共同研究室です。「なぜこの立地なのか?」というと、それは「オープンイノベーション」という考え方に基づいています。1つの研究室、大学、企業だけでは困難な研究も、集まればできることがある。したがって、研究のオープン化はイノベーションを生み出す土台になります。
また、このオフィスでは一般の人々との交流にも力を入れています。建物の2階には、阪大をはじめ各大学、各企業の研究紹介コーナーがあり、一般の方々に見てもらえるようになっています。見てもらって疑問や感想をいただくことで、知見が集まると考えています。もちろん、学生にもどんどん来てもらいたいですね。
photo_shimojo1写真で紹介しているのは、複数のディスプレイを連携し、高松塚古墳の壁画を拡大して観察できるシステムや、バーチャルリアル体験ができる3D画像システムです。これらは、このナレッジキャピタルとの連携を通じてNICT(独立行政法人 情報通信研究機構)と共同で研究開発してきたものです。

例えば、口の中の空気の流れをシミュレーションする

私たちが進めている可視化の研究とはどんなものなのか。それを、現在進行中の基礎工学部と歯学部との連携の例で説明しましょう。例えば歯が抜けると、口中の空気の流れがどうなるか、発する音がどう変わるか。こういうことについて、空気の流れをシミュレーションし、可視化する研究を行っています。
空気の動きを予測するには、なかなか難しい計算を要します。口中で生じる乱流によってノイズが生じるためです。その流れを計算するのは基礎工学部の仕事です。一方、歯学部のお医者さんはそれを理解し、絵を使って患者さんに説明したいと思っています。そこで、その間に私たちが入り、計算した結果を可視化するしかけを考えています。

波の表面と、底を流れるもの。その両方を注視したい

photo_shimojo02ヒューマンウェアイノベーション博士課程プログラム(HWIP)は、自分の専門を深めつつ、異なる分野をバランスよく吸収できるように作られています。技術がどんどん進む時代ですから、学生にはこれまでのような知識の深掘りばかりではなく、さまざまな分野を組み合わせて回遊しながら、必要な知識を吸収していってほしいと思います。
しかしその一方で、普遍的な大学の教育として守るべきところは変わらない、と私は考えています。世の中の流れの速さは、いわば「波頭」で、その底にベーシックな部分がある。それは、ゆったりとした「潮流」です。ゆったりした流れと速い動き。私たち教員は、その両方を見据えていきたいですね。

 

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