原子、分子からの材料デザイン

自身の専門を極め、そのうえで、多分野との対話と柔軟な発想があってこそ真の融合は進む。

尾方 成信 教授

Ogata, Shigenobu

基礎工学研究科 数理個体力学グループ

尾方 成信 教授

尾方教授はスーパーコンピュータを使ってさまざまな材料がもつ特性の本質を解き明かし、新しい材料の性質を予測したり、また提案する研究を行ったりしている。次世代の高性能、高機能な材料を作るため、材料を原子・分子のレベルからデザインする研究である。

モノの性質を、原子分子のレベルから根本的に理解する

例えば鉄にしても、そこに少量添加される元素やその量をわずかに変えるだけで、強さが大きく変わることが知られています。しかし、原子や電子といった根本のレベルからそのメカニズムが解明されているかといえば、実はまだ十分ではありません。ですから、これまでの材料開発は、多分に経験に基づく試行錯誤によって行われてきました。しかし、今や材料に対する社会の要求はかなり高度になっています。また、開発に与えられる時間も大変短くなっています。強い、軽い、さびない、タフであるなど、さまざまな要求に応えられる材料を短時間で作るには、試行錯誤ではもう対応できない時代になっているのです。 そこで計算機の力を借りて根本から材料の仕組みを理解すれば、材料を実際に作ってみる前にその特性を予測したり、要求に応えるための指針を立てたりすることができ、材料開発を効率よく進めることが可能となります。

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確固たる「自分」をもってこそ、本当のコラボができる

コラボレーションで重要なことは、まず自分の専門性をしっかりと確立しておくことです。それがなければいくら異分野の人と対話をしても本当の意味でのイノベーションは生じてこないと思います。そのうえで、異なる立場の意見を柔軟に聞くことが大事になります。そうすることで本当の融合が生じ、何らかの大きな化学反応が生じるように思います。  学生にも異分野交流を進めています。一つの分野の中だけで研究を進めていると、どうしても単一的な思考に縛られてしまいがちになります。異分野の方と対話すると、同じことを説明するにしても、違う言葉や違う考え方をされていることにはっとします。そういう交流を体験することで、根本事象は同じでも、異なる捉え方があることを知り、また、表面上はまったく違うようでも実際は同じ根本事象であると気づかされます。こういうことを多く体験することで、ものごとを考える際に複眼的な思考をする「くせ」がつくと考えています。それこそ、新しい自分の可能性を発見する直道であると思いますし、研究面での新たな発見もそのような思考から出てくることが多いのではないでしょうか。そういう意味で、学生さんには他流試合とでもいいましょうか、積極的にいろいろなところに出て行き、自分を磨いてほしいと思います。

学生の研究発表の場で、私はよく「なぜ、その研究を進めているのか」と問いかけます。この部分が曖昧な場合や自分の言葉で説明できない場合には、それができるようになるまでしっかり研鑽するように言っています。さもなければ、さまざまな分野の人との対話や他の研究との真の融合ができないからです。

普遍的なものの見方に到達してほしい

dr_ozaki3ヒューマンウエアプログラムには「研究室ローテーション」という仕組みがあります。当然、表面上は全く異なる研究テーマに直面するかもしれません。例えば、情報を専門とする学生さんが機械や材料の研究をするとなると大変ではないかと思われるかもしれません。しかし、どの分野の研究でも、そのよりどころとしているのは普遍性の高い数学や物理法則という共通の考え方なのですから、極めていけば必ず共通点を見つけることができるはずです。柔軟な発想で、是非その境地に到達してほしいと思います。

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