脳の発生・発達に挑む

実験とは、「実際に験(ため)してみる」と書く。
試行錯誤の中から新たなものが生まれる。

山本 亘彦 教授

Yamamoto, Nobuhiko

生命機能研究科 細胞分子神経生物学研究室

山本 亘彦 教授

脳には、発生・発達過程でめざす方向に神経細胞の突起が伸びると同時に、外界からの刺激を受け、配線が変化するという性質がある。山本教授は独自の実験手法を用いて、脳の発達の仕組みの解明に取り組んでいる。

外界刺激が神経細胞ネットワークに影響を与える

脳の神経細胞は、人間の場合1000億個ほどあります。これが軸索という突起を伸ばし、配線ができていく。いったん配線ができてくると、外界から五感の刺激がやってきて、それらは脳に入ると全て電子信号に置き換わり、できかけの回路の配線を駆け巡る。そして、できかけの脳の配線が変わっていきます。
赤ちゃんの脳では、いろいろな入力を受けながら、外からの刺激により配線が変わっていくことが知られています。しかし、そのプロセスが実際どうなっているのかは、よく分かっていません。ふたごとして生まれても、育つ環境が異なれば、彼らの脳の配線は多少異なっていきます。

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発達過程の軸索の分岐に注目

発生の過程では、軸索が正しい方向に伸び、分岐を作り、他の神経細胞とコンタクトする。こうして回路ができていきます。我々が注目しているのは軸索の分岐です。環境からの影響で分岐が激しくなったり、起こらなくなったりする仕組みや、こういった分岐はなぜ子どもの頃によく起きるのかについて調べています。
最近は、ヒト特有の特性とはなにか、ヒトの神経回路ができていく仕組みは下等ほ乳類とどこが違うかというテーマにも取り組んでいます。ほ乳類の進化が進むほど、外界刺激に対する神経回路の変化がより大きくなるのではという、興味深い示唆もあります。人間特有の性質を実験で調べることは難しいのですが、今後は新しい方法を使って解明を進めたいと思っています。

考えがジャンプするとき

研究活動において重要な方法論を見つけると、それがきっかけになってテーマが大きく前に進みます。自分から変わろうとする意思をもつとき、あるいは、変わろうというモチベーションをかき立てるものに出会ったときも、確かに大きくジャンプするようですね。
学生たちには、殻を破って伸びる時期があるように思います。それは日々の積み重ねから生まれるのですが、こつこつやっていれば必ず成長するというものでもない。ああでもない、こうでもないと、失敗しながら新たなものに出くわすことが大切なのでしょう。
我々の研究は、実験が中心です。実験とは字の通り、実際に験(ため)して、成果を生み出すこと。いろいろやってみることですね。実験は安易なルーチーンの仕事になってはいけない。そう思います。

いろいろな世界に「いっちょかみ」しよう

yamamoto3ヒューマンウエアイノベーションプログラムの履修生には、いろいろな研究室に行って、違う文化を体験してほしいと思います。いい意味で「浅く広い」体験をしてほしい。大阪弁でいう「いっちょかみ」です。いろいろなことに「いっちょかみ」しておけば、次にそこに近づこうとしたときに、敷居が低くなります。それが、次への布石になるかなと思うからです。どうか、「いっちょかみ」のスピリッツを持ち続けてください。

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