相互理解が融合研究の扉を開く

異分野の研究者が歩み寄るプロセスは、
人工知能の研究から非常に興味深い。

沼尾 正行 教授

Numao, Masayuki

情報科学研究科 情報数理学専攻 知能アーキテクチャ講座(産業科学研究所)

沼尾 正行 教授

「共感するコンピュータ」「学習するコンピュータ」など人工知能の開発に取り組んでいる沼尾教授。めざしているのは、人間と共存できるコンピュータ。コンピュータに何でも任せてしまうのではない。人にとっての快適を重視しているのが特徴だ。

対象者に合わせて作曲、編曲するコンピュータ

「共感するコンピュータ」は、人間に合わせて音楽を作曲、編曲するシステム。対象となる人の脳波や心拍数などを測定しながら、その人に合った曲を作曲、編曲する仕組みです。どういう曲がその人に合っているのか、これを評価するのは難しいのですが、人間がどう感じるかについての心理学の指標が、主観的なものから客観的なものまでいくつかありますので、これらを適宜選択しながら評価を進めています。また脳波や心拍数とは異なる主観的な報告も大切なので、被験者になっていただく方からアンケートをとる場合もあります。このほか、匂いや光などの感覚を人に合わせるシステムについても、他分野の先生方とともに研究を進めています。

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相互理解は、人工知能研究の重要テーマ

異分野との融合研究の魅力は、新しい話が聞けることだと思います。大変なのはやはり話が通じにくいことでしょうね。お互い用語が違いますし、普段経験している世界も違う。互いに客観的だと思っていることが、主観的な考えだったりするわけです。両者がどのように理解し合えるかが、おもしろいところだと思います。
相互理解という話題は、実は私の研究にとても近い内容です。人工知能の世界では、人間はどうしたら理解し合えるかについて、機械と結びつけて論じている人がたくさんいます。そういう意味では、融合研究自体が私にとっては、研究の題材になり得るものだと思っています。

融合研究は互いに刺激し合い、ともに成長する機会

numao3ヒューマンウェアイノベーションプログラムでは、例えば生命科学系の履修生を研究室ローテーションの中で迎え入れる機会がもてます。彼らには、生物を使った実験を行っているという強みがあります。実験で脳波を測る場合などもあり、うちの研究室の情報科学系の学生にとっては、生命系の方の考えが参考になると思いますし、刺激し合うことが多いだろうと期待しています。
異分野との融合研究に挑む学生には、「触れあう時間を増やして、考えのギャップを埋める努力をしてほしい」とアドバイスしています。また、分野にかかわらず、他大学との共同研究にも進んで参加するようにサポートしています。

興味の幅を広げること、ディシプリン(専門分野)をしっかりもつこと

融合研究に興味がある学生の皆さんに申し上げたいことは、自分の興味の幅を広げて、いろいろなことにチャレンジする一方で、基礎をきちんと身につけて、誰にも負けない強みももってほしいということです。両方に取り組んでほしいのです。専門分野をしっかり身につけようと思うと、視野が狭くなりがちです。しかし、興味のわくことで融合研究を進めようとしても、自分の基礎がしっかりとできていなければ、研究を進めるのは難しいと思います。研究者である以上は、自分の専門はここであるというディシプリン(専門分野)をきちんともってください。

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