知能的な動きを身体の「からくり」から探る

融合研究は、何が起きるか分からない。
だからおもしろさにあふれている。

細田 耕 教授

Hosoda, Koh

基礎工学研究科 適応ロボット学グループ

細田 耕 教授

細田教授は、人間を含めた生物の「からくり」すなわち機構とその機能について、その筋骨格系をまねて作ったロボットを使って調べている。その研究は「からくり」だけでなく、その機構を活用して脳が動きをどのように制御しているのかという方向にも広がっている。

身体の「からくり」を活用して跳躍する下肢ロボット

ヒトの身体の「からくり」について研究するために、ヒトの下肢の構造をまねたロボットを、空気で動く人工筋を利用して作っています。このロボットは、跳躍するために、身体の「からくり」を有効に活用しているので、制御に必要な計算が少なく、小さなコンピュータと少数のセンサだけを使っています。ヒトの場合も、脳からの信号を待って制御が行われると、跳躍のような速度の速い運動には間に合わないと考えられています。

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筋肉の機能を詳細に探究

例えば、ヒトの脛の裏側には、ヒラメ筋と腓腹筋という二つの筋肉があります。ヒラメ筋は足首を、腓腹筋は足首とひざを同時に動かすことができますが、運動中にそれぞれがどのような機能を持っているかは,現在のところよくわかっていません。どちらの筋肉を使っても足首を伸ばすことができますが、どのように役割分担されているかはまだ理解されていません。
このようにヒトの身体には、同じ関節を同時に引っ張る筋肉がいくつもあり、これらの筋肉は、連動して体の動きをコントロールしていると考えられています。ロボットによるアプローチを行えば、これらの筋肉の機能について、例えばある筋の活動を停止するなど、ヒトではできない実験を行うことができます。

分野が違えば、言葉、視点が違う

私たちの研究室では、ヒューマンウェアイノベーションプログラムのスタート以前から、生体力学、生物学、医学の専門家などと共同で研究を進めています。プログラムが始まったときも、新たに融合研究を立ち上げるのではなく、そのまま研究を進めています。 分野が違う人とは言葉が違うし、考え方も違うのですが、一緒に話をしていると「そういう考え方もあるのだな」とわかってきます。本を読んで知識として知ってはいても、実際に融合研究を始めてから、全然視点が違うと実感することがよくあります。
この研究を始めた頃、われわれのヒューマノイドロボットを異分野の研究者に見てもらって「これは人間とは違う」と言われたことがあります。「どこが違うのですか」と質問し、説明を受けると、それはわれわれが持っていた着眼点とは全く違うことがわかりました。そういう経験が即座にヒントになって、研究の発展につながっていくのは、非常におもしろいですね。

相手の話から得た「光るもの」を大切に育てていく

hosoda3私は、研究を進めるうちに融合研究の考え方が自然に出てくると思っています。あらかじめ設計されるようなものでないのではないでしょうか。だから予想外なことが生まれる楽しさがあるわけです。自分の専門をもった研究者が、他分野の話を真剣に聞くとき、自分の中でぽつんと光るものがあれば、そこから融合研究が始まるのです。ヒューマンウェアイノベーションプログラムの研究室ローテーションで、異分野の学生さんが来られた時も、「これが融合研究です」と特別に説明するようなことはありませんでした。研究内容を聞いてもらっただけです。聞く人が、自分のもっている材料の中で相手の話を消化しながら、自分の問題・関心に結びつけていってほしいと思っています。

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