柔軟な視点で新たなシステム作りに挑む

異分野との融合から考える
使いやすく、安全な情報セキュリティのしかけ。

藤原 融 教授

Fujiwara, Toru

情報科学研究科 セキュリティ工学講座

藤原 融 教授

「情報を守る」、あるいは「情報をきちんと伝える」研究に取り組んでいる藤原教授は、異分野の視点を取り入れたセキュリティの仕組み作りに新たな可能性があると語る。

情報が盗まれず、正しく届く「しかけ」についての研究

私はインターネットなどで交信される情報が、外部から盗み見されても中身が分からないようにするための、暗号などさまざまなしかけについて研究しています。これがテーマの一つです。
もう一つのテーマは、情報通信の誤り訂正に関するものです。携帯電話では、雑音が入って聞き取れないことがあるのに、電子メールでは、(当然、雑音があるのですが)、正しく受信できます。確かにメールも送信に失敗することがありますが、失敗したことが検出できます。情報の誤りを訂正するしかけが入っているからです。このような技術について研究しています。
これらの研究は、しかけそのものを作る部分と、思った通りの性能を発揮しているかを評価する部分から構成されています。私の行っている研究は理論寄りの研究で、すぐに実用化されるというものではありませんが、年が経つにつれ実用化に近づいているといえます。

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使いやすく安全な仕組みをめざして

理論研究の段階では、あまり融合的な研究は行われませんが、最終的には「人にとって使いやすい仕組み」を提供する必要があります。特にセキュリティ面では、「ウィルスに侵入されたくない」と思っていても、そのためのパスワードの頻繁な変更などは、正直なところ面倒だと感じる人も多いでしょう。リアルな世界では、確かに家庭の金庫は銀行の金庫ほど安全ではありません。しかし、ほどほどのセキュリティでも十分に社会が成り立っているというのが現実です。
バーチャルな世界でもそのような考え方ができます。「ほどほどな安全性を実現できる、ほどほどに扱いやすい仕組み、しかけの実現」を考えていけばいいのかなと考えています。また、認知科学などの知見を用いて、どうすれば人間にとって使いやすい安全対策が実現するかを考えなくてはいけません。
ただ、どのくらい安全にすれば、人は安心だと思うか、その評価をどうすればいいのかは難しい。今後しっかりと考えていきたいと思っています。

生命科学の知見を取り入れて

認知科学以外では、生命科学との融合の可能性もあると思います。生命が環境変化に対応してきたのは、生き延びた個体もあれば絶命した個体もあるからです。このことを情報科学において考えてみますと、今は100%のセキュリティが求められています。ネットワークにつながった1台のコンピュータでも侵入されてはいけないという考えです。むしろ、1台が侵入されても世の中への影響は微弱であるというようなシステムが構築できればと思います。そんなシステム作りには、生命科学が参考になるかもしれません。このように、情報科学と生命科学は融合すれば新しいことができる可能性があると思います。ただ、皆さんの目の前にあって使っているコンピュータはそれ1台しかありませんから、この考え方は当てはまりません。もっと大きなシステムが対象です。

プログラムを通じて海外の研究活動に触れてほしい

fujiwara3私はこのプログラムで海外連携を担当しています。現在、1週間ほどの海外の研究機関を見学する短期派遣と、1.5か月または3か月かけて海外の研究機関で活動を行う海外インターンシップの準備を整えています。短期派遣の間に「ここで研究したい」という場所を見つけ、しっかり準備をしてインターンシップに臨んでほしいと思います。
海外の研究機関では、異なる文化を背景にして人々が集まっているのはもちろんですが、社会人を経験してから研究活動に戻る人もいます、したがって年代もさまざまです。海外インターンシップでは、そういう雰囲気の違いも経験してほしいと考えています。同じ人間同士ですから気楽に柔軟に、与えられた機会を楽しんでほしいとも思います。

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