沖縄科学技術大学院大学(OIST)を訪問

2017.03.16-18 沖縄科学技術大学院大学(OIST)

2017年3月16から18日まで、履修生10名と特任教員3名で沖縄科学技術大学院大学(OIST)を訪問する沖縄研修を行いました。本プログラム(HWIP)は異なった専門分野を持った履修生が分野を超えた議論・実践を通して博士課程の修了を目指すものとなっており、同様に優れた学際的環境をもつ OIST との交流を重要なものと位置づけ、一期生を受け入れた 2013年から、相互の施設の見学や合同のポスター発表会など、交流を継続的に行っています。

まずは、OISTの施設全体をまわるOIST tourにより、全体としてのコンセプトや設備、様々な分野の研究者が密接に議論できる工夫などを知りました。建物の空間デザインやイベントなど、一貫して「研究者の楽園」のための工夫がこらされている様に履修生達はとても感動していました。

その後はOISTが定期的に行っているTea timeに参加しました。OISTが学食を開放し、コーヒーやケーキなどをふるまいます。これも学際的な雰囲気をつくる取り組みの一つです。ここには様々な学生や教員、スタッフが参加し、交流を行っていました。OISTでは半数以上が外国人であることから、このTea timeはまさに世界中の人が集まる場となっていました。履修生達はこの中に入り、積極的に会話に参加していました。日本ではあまりこういった機会はないため、日本にいながらも海外の大学院を訪れたような体験を得ることができました。また夜にはアカデミック・サービス・セクションのHarry Wilson博士により学外で非公式に懇親会を開催していただきました。

履修生達は数名のグループに分かれ、それぞれ異なるOISTのラボを訪問しました。生命科学、機械工学、物理学など様々な分野からなるOISTのラボから、各履修生の分野を考慮してラボツアーを組んでいただきました。実際にラボの雰囲気を見て、先生や研究員、学生と直接話すことで、それぞれの履修生がたくさんのことを学ぶことができました。インターンシップを考慮する履修生もいました。

またOISTが持つ計算機システムに関する説明を受けました。最先端研究をサポートするうえで非常に重要な役割を果たしていること、また異分野融合や教育という観点でもとても効果的に機能していることがわかりました。計算機があるだけではなく、そこにしっかりとした技術者が採用されている点も非常に参考になりました。

最後に、HWIPの履修生とOISTの学生がポスター発表を行いました。すべて英語にて行われたこと、さらには専門分野の国際会議とは異なり、学際的な交流の場において英語でやり取りすることは履修生にとって非常によい経験となりました。(ポスターセッションにはノーベル生理学・医学賞の受賞者ティモシー・ハント博士も訪れ、情報ネットワークの研究ポスターを聞くなど、とても国際的かつ学際的な雰囲気でした。

OISTは世界各国から様々な専門分野やバックグラウンドを持った学生で構成されており、コミュニケーションも英語で行われています。そして日本屈指のリゾート地にあり、素晴らしい開放感のもとで教育研究活動に励むことができます。本プログラム履修生にとっては、多様な意見を英語で理解し、その中で自分の意見を英語で表現する良い機会となり、グローバルに活躍する人材として成長する大きな一歩となりました。

このOIST訪問では、OISTの研究科長Jeff Wickens先生、研究科長オフィス田村明子様、アカデミック・サービス・セクションのHarry Wilson博士、知花千亜希様による企画運営、ならびにラボ訪問を提供してくださった先生および研究者の皆様、OIST tourおよび施設説明をくださった皆様、ポスターセッションや懇親会などにご参加いただいたOIST生の皆様のご協力により実現できました。本当にありがとうございました。

 

参加者の声

志垣 沙衣子(IST 3期生)
OISTを訪問して最も驚いたことは、学校をあげて学際研究を進めている点だった。学生や研究者、教員同士が交流しやすい空間や、研究に必要なリソースを共同利用するための建物の構造、学校全体のティータイムなどの交流の機会が、学際研究を進めるという学校のコンセプトと矛盾なく提供されていた。また建物の随所に、研究の合間にリラックスできるよう工夫が凝らされており、研究を進めやすい環境が学校全体として作り上げられている印象を受けた。今回のOIST訪問を通して、自分の研究環境や、研究の進め方を客観的に見直すことができ、特に俯瞰的な視点から指導してくださっている先生とのコミュニケーションを密にすることが、研究を正しく進行させる上で非常に重要であると感じた。

西田 圭吾(FBS 4期生)
今回のOIST研修で,自身の専門研究を他分野の研究者に英語でポスター発表を行う機会を得ることができました.こうした特定の専門分野における研究交流ではない場合,研究の問題意識(面白さ)をどこまで共有できるかが肝だと思っています.これはHWの中で日本語だとしても苦労しているところでもあり,英語でそれを実践することが,さらに難しいことであることを身をもって感じました.自分の英語での発表が面白いと感じてもらえるようになっていきたいと思いました.

村上 雅哉(IST 3期生)
今回のOIST研修で特に印象深かったのは、「研究者の楽園であれ」というOISTの理念です。研究者同士の交流を狙って建物がデザインされていることや、研究設備の管理専門スタッフがいること、さらには建物内部の塗装に至るまで研究アイデアの創出のためにこだわり抜かれていることなど、一瞬、学部の時代にOISTの存在を知らなかったことが悔やまれる思いをしたほどです。

Anthony Abraham(FBS 2期生)
At OIST, I was able to observe how the design of the buildings and entire campus was geared towards fostering interaction between all members of the university. This was via having one entrance, shared spaces, labs and other facilities etc. I also learned about OIST’s goal for sustainable development which was demonstrated in the university’s preservation of the local wildlife during construction, as well as developing technology to improve the public health and local economy of Okinawa. It was an enlightening experience.

三田 真志郎(FBS 4期生)
施設の構造、組織構成や人員のポジションなど、よく考えられて設計されているOISTの設計理念に感動した。共同研究を促すような工夫が随所に散りばめられており、OISTで研究したいと思う要素が満載であった。具体的には、実験に用いる装置が研究室単位ではなく一括で管理されており共用設備となっていること。そして、設備を管理する専門の技術員が手厚く実験をサポートする体制が整っていること。各研究棟へと向かう際に必ず中心の棟を経由するのでそこで様々な分野の研究者とすれ違う機会ができるように設計されていること。また、廊下のいたるところに紙コップとウォーターポットが置かれていることにも驚いた。

小森 隆弘(IST 2期生)
OIST研修で学んだ中で最も大きかったのは、研究施設としての効率や使いやすさを重視した大学がどのような形になるかということである。OISTでは設備や備品を共通化するだけでなく、専属のスタッフの管理下に置くことで、単なるコストカットだけでなく利用にあたってのサポートも受けやすくなるような体制を実現していた。このような共有システムは応用すれば、商業化を目指す技術のテスト・ノウハウ蓄積にも使えるのではないかと思った。

森田 啓介(IST 2期生)
OISTでは学生が自分の研究に必用な高価な機器を自由に使うことができ、またそれの扱い方に長けた専門のスタッフ達が充実しており、研究の遂行にとても魅力的な環境であった。また、OISTは沖縄の自然や産業に関わる研究を積極的に実施しており、地域に貢献する姿勢が素晴らしいと感じた。今回の研修ではHWIPとOIST学生の専門研究のポスターセッションを行い、面白いアドバイスや、自身の研究を相手に説明する際に協調すべき点や注意すべき点などの気付きを得ることができた。また、ラボツアーでは私が興味のある研究を行っている先生と直接お話しする機会を頂くことができ、インターンシップ先の候補を探すとともにコネクションを作ることができた。

下村 優(IST 4期生)
日本の大学と大きく異なる研究制度や施設の素晴らしさに圧倒されました.また日本にいながらも海外の大学院を訪れたような体験を得ることができ,実際に海外の大学院を訪問する場合,躊躇うことなく向かうことができると思います.さらにOISTの院生との交流やポスター発表を行いましたが.自分の英語力の無さを痛感しました.今後,海外へのインターンシップや国際学会へ行くために,研究の議論ができるほどの会話能力を身につけなければならないと深く感じました.

佐竹 幸大(IST 4期生)
OISTは、日本の大学がイノベーションを起こして、世界を牽引し、社会に価値を還元するキーが含まれていると感じた。なぜなら、OISTは旧来からの日本の大学のあり方とは大きく異なっており、それによって、設立まもないにも関わらず、世界トップクラスの成果を出しているからである。旧来からの日本の大学のあり方と異なる点としては、設計面・運用面、共に研究者が成果を出しやすい環境を、というコンセプトに基づいており、一貫性のあるものだったことである。建物全体は、大学とは思えないような先進的な造りをしており、それらすべてに意味があった。例えば、建物の壁の色合いが自然の景観とマッチしていたり、研究者が部屋に篭って気が滅入らないように各階で壁の色合いが変わっていたり、といったものである。また、運用面では非常にオープンな思想を持っている。例えば、所属にかかわらず、高価で貴重な多くの研究機器をシェアしたり、豊富な計算機資源を学内で一括管理してシェアしたり、異分野の研究者同士が近くの席に座っていたり、ティータイムを設けて交流をしやすいようにしていたり、といったものである。このように、研究者にとって非常に研究のしやすい環境が整っており、クリエイティブな発想が生まれやすい環境であると感じた。日本の大学の常識を覆した設計の結果、著名な研究者たちが世界各国から集まり、世界有数の研究成果を挙げることができていた。OISTはまさに、大学におけるイノベーションを具現化したようなものであり、このような姿勢は、伝統的な日本の大学においても、大いに取り入れる価値のあるものであると感じた。